日本経済は、それほど好調なのか。実感がない者の素朴な疑問である。
 2017年4~6月期の国内総生産(GDP)速報値が、物価変動を除く実質で前期比1.0%の増となった。年率に換算すれば、4%もの高い成長である。
 このところ成長を支えてきた輸出が4四半期ぶりに減少したものの、それを補うように、個人消費と企業の設備投資という内需の二本柱が堅調に推移。内需の拡大が久しぶりに景気の回復をけん引したという。好ましい成長の姿である。
 だが問題は、この姿がこれからも続くのかどうかだ。疑問と言うほかはない。
 なぜなら、まず、その要因である個人消費の回復に、力強さが欠けるからだ。
 消費で活気づいたのは、自動車や白物家電。08年のリーマン・ショック後に、いずれも政府が消費刺激策で購入を支援した耐久財で、その買い替え需要が一時的に家計支出を押し上げたとみられる。
 さらには、天候に恵まれたことで、エアコンの購入や、外食を含むレジャー関連の需要も活発だった。
 消費回復の背景にあったのは、買い替え需要に天気・季節要因という、いわば「一時的な追い風」だった。
 もう一つの内需の柱、設備投資についても、生産性の向上につながるかどうかは疑わしい。老朽化した機械の更新、人手不足に対応した省力化関連の投資が中心だからだ。現状維持対応であり、増産に向けた投資とは言い難い。
 景気の鍵を握るのは、言うまでもなく、GDPの約6割を占める個人消費の動きである。好調さが持続しそうにないのは、一時的な追い風効果もさることながら、そもそも「賃金が上がった」「家計が潤っている」という実感が薄いからといえる。
 人手不足であるにもかかわらず、省力化を図る設備投資でその賃金上昇要因を封じ込めていることもあってか、賃金は思うように上がらない。
 連合集計の17年春闘の実績は前年を割り込み、大手企業の夏のボーナスも減少に転じた。6月の毎月勤労統計調査によると、1人当たりの現金給与総額は1年1カ月ぶりに減少したという。
 景気の自律的回復に不可欠なのは、継続的な賃上げだ。
 海外経済の復調などから、大手企業の18年3月期の純利益合計は、過去最高を更新する見通しという。確かに、北朝鮮情勢の緊迫化などから円高株安が進みかねず、慎重姿勢は崩せまい。だが、可能な限り、利益を従業員らに還元し、本格回復の道筋をつけてもらいたい。
 政府には、そうした企業の活動を後押しするため、規制改革を含め成長戦略の着実な実行が求められよう。同時に、加計(かけ)学園問題を含む政治の混乱を早期に解決し、景気の回復に水を差さぬことだ。