名は体を表すというが、政治の世界も同じではないか。「日本ファーストの会」という名称からは何を志向するのか、全く伝わってこない。
 小池百合子東京都知事の側近、若狭勝衆院議員(無所属)が、次期衆院選を見据えた国政新党の結成に向けて設立した政治団体である。
 小池氏が事実上率いる、7月の都議選で圧勝した地域政党「都民ファーストの会」と連携する方針だという。「ファースト」という名を使うことで、連動を強く意識したはずだ。小池氏の国政進出の布石に他ならない。
 もっとも「排外主義を連想させる」といった批判が出ているため、若狭氏は国政新党では別の党名に変えると表明しているが、小池人気頼みの本質が透けて見える。
 小池氏の選挙戦術は党名の通り、「アメリカ・ファースト」を唱える米国のトランプ大統領と似た側面がある。既得権益に対する有権者の不満をてこに、勝ち抜くポピュリズム的手法にたけている。
 各種世論調査を見ても、既成政党に飽き足りない無党派層は増える一方。ここをターゲットにして取り込もうとしているのは明らかだ。
 実際、若狭氏は都議選の結果を踏まえて「有権者は自民党、民進党でもない、もっと新しく、もっと声を受け止めてくれる政党の存在を求めると実感した」と語っている。
 ただ、これまでさまざまな新党が旗揚げした際、何度、同じようなフレーズを聞かされたことか。最後は一過性のブームに終わって離合集散を繰り返したり、自民党の「別動隊」になったりしているのが最近の政局の流れだ。
 民意の新たな「受け皿」づくりを目指すというならば、まずは明確な政策や理念を打ち出すべきである。
 安倍晋三首相が宿願とする憲法改正、北朝鮮の脅威に直面する安全保障、消費税率引き上げを含めた財政再建、アベノミクスに対抗する経済政策…。政権の座にある自民党との対立軸をどう掲げ、何を改革するのかが問われる。
 政党助成法上、所属国会議員が5人以上になれば、政党要件を満たすが、若狭氏以外のメンバーはまだはっきりしていない。9月から政治塾を始めるというものの、一定水準の人材を集めるのはそう容易なことではなかろう。
 若狭氏は、支持率が低迷する民進党から離党した細野豪志元環境相と新党の協議を始めた。「離党予備軍」も視野に入れているに違いない。
 同党を除籍された長島昭久元防衛副大臣、日本維新の会を除名された渡辺喜美参院議員、松沢成文参院議員との連携も取り沙汰されている。
 ただ、「小池旋風」を当て込んだ「選挙互助会」にしてはなるまい。政策の一致がなければ、結局は路線対立を招き、亀裂が抜き差しならなくなって分裂した旧民主党の二の舞いになるだけだろう。