米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)所属の新型輸送機オスプレイが、北海道大演習場(千歳市など)で行われている陸上自衛隊と米海兵隊の共同訓練に、きょうから参加する予定だ。
 オスプレイは5日、オーストラリア東部沖で、隊員3人が死亡する深刻な墜落事故を起こしたばかり。事故原因が究明されないままでの訓練参加は、国民の安全性への不信感を増大させる結果になるのではないか。
 訓練期間中の拠点である米軍三沢基地(三沢市)から合流するオスプレイは、1週間前から数機が東北上空を往来していた。沖縄固有の問題と捉えず、「わが事」として真摯(しんし)に受け止めたい。
 小野寺五典防衛相は事故後、国内での飛行自粛を米軍に申し入れた。しかし、米軍側は沖縄県副知事との会談で「オスプレイは世界中で飛んでいる」と発言、7日には普天間飛行場から飛び立たせた。
 それ以後、日本側は米軍の言いなりのように映った。米軍は9日に「安全を確認し、飛行を継続する」と声明を発表。防衛省は2日後、一転して飛行継続を認めた。
 同省の事故評価を読むと、米軍の主張の丸のみと言っていい。「米軍は初期調査を確認し安全だと結論付けている」「(機体に)欠陥はないと米軍が認識している」。こうした一方的な説明を「理解できる」として容認している。
 事故原因が示されておらず、再発防止策の言及もない。安全性の根拠をどうやって確認できるのか。国民の不安をなおざりにしていると言われても仕方あるまい。
 オスプレイを巡るトラブルが多すぎる。昨年12月には沖縄県名護市の浅瀬に不時着し大破事故を起こしたが、いまだに詳細な原因は明らかになっていない。
 国内で米軍による事件、事故があっても、日本側の捜索や検証の権利を制約する日米地位協定の壁が厚く立ちはだかっているからだ。
 名護の事故でも米軍は協定を盾に日本側の現場検証を拒んだ。ならば地域住民らが納得できる早期の情報開示があってしかるべきではないか。
 日々、頭上をオスプレイが飛行する住民は耐え難いだろう。「政府は米軍にもっと毅然(きぜん)たる態度を取って」と憤るのも無理はない。政府は、日本側に不利な地位協定の改定を急ぐべきである。
 訓練はオスプレイ参加を大きく引き延ばす日程となった。沖縄県、北海道、青森県の関係自治体にとどまらず、佐賀空港への配備計画がある佐賀県などにも懸念の声が広がったからに他ならない。
 北朝鮮情勢が緊迫度を増す中で、日米連携の重要性が高まっているのは確か。ただ、同盟が正常に機能するには、互いの信頼があればこそ。政府は追従一辺倒ではなく、国民の安全確保のため、米軍に厳格な対応を要求すべきだ。