税金を投入する補助制度が悪用されてはかなわない。東日本大震災や東京電力福島第1原発事故からの復興の名の下で、不正に受給されていたとしたら、なおのこと。断じて許してはならない。
 東京地検特捜部が今月9日、福島県の補助金約2億5千万円をだまし取ったとして詐欺などの罪で、大阪府岸和田市の太陽光発電関連会社の役員2人を起訴した。
 起訴状などによると、白河市に建設した工場の設備購入額にうその記載をし、取引先の発注書を偽造するなどしたとされる。だまし取ったとされるのは、復興に向けた雇用拡大などを目指し、県が震災後に創設した「ふくしま産業復興企業立地補助金」だ。
 この補助金を巡っては昨年11月、南相馬市の工場建設で、設備購入費の水増し請求による不正受給が発覚。同県広野町では、建設された工場が完成直後から稼働していない疑いも出ている。
 相次ぐ発覚に、不正を見抜けなかった県の不手際も問われることになる。白河市の工場の場合、県は3度も現地確認などの調査に入りながら、不正に気付けなかった。
 不正の見逃しに対して、自治体は「強制捜査権がない」などと弁明することが多いけれども、さすがにこれだけ繰り返されると、そんな言い訳は通じない。
 内堀雅雄福島県知事は定例記者会見で「足らざる点があった。審査のさらなる強化や外部委託も含めて努力する」と不備を認めた。
 県によると、公認会計士ら外部の有資格者に、現地確認などに同行してもらう方法などを検討している。専門家の視点で厳しくチェックすることは有効な手段になるが、補助金交付に向けた審査段階から書類の偽造がないかどうか、可能な限り、確認を徹底することが求められる。
 例えば、実際の費用より高く設備を購入したように見せ掛けるなど、これまでの不正受給では、発注書や請求書が偽造されている。もはや、書類がそろっているだけでは不十分で、その正しさをどう見極めるかが問われる。
 税務署への提出用など、補助金申請以外の書類を調べることも検討すべきだろう。国の立地補助金では昨年、審査などを担当する民間の事務局がこの方法で領収証偽造による水増しを見つけたという。
 ただ福島県の復興に向けた立地補助金の交付実績は12~16年度で375件。岩手県の同種の補助制度が年間数件にとどまるのと比べると、はるかに多い。ただでさえ事務量がかさむ中で、不正を許さない仕組みをどう構築するか。抽出による徹底した調査も含めて対応を検討してほしい。
 不正受給が続くようなら、補助制度の信頼どころか存在意義すら大きく揺らぐ。審査の視点に立つ限り、性善説を捨てて、絶対に不正を排除する強い姿勢を示すしかない。