東日本大震災の際、被災地では、給油所のガソリンスタンド(GS)に車の長蛇の列ができた。ガソリンや灯油の供給拠点が欠かせない「インフラ」であることを、誰もが痛感した。
 そのGSの減少に歯止めがかからず、赤信号がともっている。とりわけ過疎地の実情は深刻だ。「難民」が発生しないように、自治体が国と協力して主体的に関わっていくことが求められる。
 経済産業省は年度内に、GS存続に向けた指針を策定する方針だ。さらに過疎自治体にGS維持の目標を盛り込んだ行動計画を求め、計画づくりの支援に乗り出した。
 23日には、課題を抱える市町村や県と対応を協議する全国初めての会合を群馬県で開催。タンク容量が600リットル未満で通常の10分の1以下の小型GSを集落単位で運営することも、対策の選択肢として提示した。
 自治体にとっては費用負担や運営コストの面からも関与しやすいはずで、国は補助金制度の活用を促すなどして積極的に後押ししてほしい。
 GSは全国でピーク時よりほぼ半減、東北でも3600ほどになった。中でも問題なのは近所にGSがなく、車両への給油や灯油配送などに支障が出る地域だ。
 経産省は、3カ所以下の市町村を「GS過疎地」として、2年前に関係団体などと対策協議会を設置した。
 GS過疎地は3月末現在で計302市町村と、前年より14市町村増えた。東北では青森県西目屋村のゼロをはじめ36市町村ある。最寄りの給油所まで15キロ以上離れている地域は仙台、青森、盛岡など県庁所在地にも点在する。
 GS過疎地の実態調査では、営業中の業者も多くが経営不振や設備の老朽化、後継者不足といった課題を抱えており、約3割に廃業リスクがあるとの分析もある。
 全国的には村出資の一般社団法人が運営を引き継いだり、廃業GSを町が買い取って設備を更新した上で民間に運営を委託したりと、自治体が積極的に存続に関わる例が出ている。地域住民が資本金を出し合って会社を設立し、運営を引き継ぐケースも。
 特に東北では、冬場の灯油配送が地域住民にとって、「生命線」でもある。
 仙北市は地域唯一のGS存続のために、関係機関と協議。各家庭にホームタンクを設置して備蓄量を増やす一方、配送する曜日を集約するなど、経営の効率化に地域で協力することになった。
 GSの経営自体は民間事業だが、社会インフラ維持は住民の生活を守るための行政の責務とも言える。にもかかわらず、該当する自治体の中には担当部署さえ決まっていないところもあるという。
 自治体自らが危機意識を持ち、業者や地域住民と共に、実情に合わせた対策を早急に検討する必要がある。