北朝鮮による弾道ミサイルの脅しに、どう対処していくべきか-。
 自前の防衛力整備は必要だとしても、あれもこれもと際限のない増強になっては、厳しい財政難に直面する日本の「体力」がもたない。
 一定の歯止めをかけるためには「脅威論」にいたずらにあおられることなく、強化の中身をしっかりと吟味しなければならない。
 弾道ミサイル防衛(BMD)に重点を置き、過去最大となる総額5兆2551億円を計上した防衛省の2018年度予算概算要求のことだ。
 17年度当初予算比で2.5%のプラスとなり、6年連続の要求増である。現在の中期防衛力整備計画(14~18年度)で見込む年平均0.8%の伸び率を大きく上回った。
 確かに北朝鮮の軍事行動はエスカレートし、情勢は緊迫の度を増している。
 7月に2回にわたり、大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星(ファソン)14」の発射実験に踏み切った。8月29日に中距離弾道ミサイルを発射、北海道上空を通過させた。今月3日には、過去最大の規模となる6回目の核実験を強行。「ICBM搭載用の水爆実験に完全に成功した」と発表した。
 BMDの目玉として設計費を要求したのが、新装備の「イージス・アショア」。イージス艦に搭載している迎撃ミサイルシステムを陸上に転用したバージョンだ。
 金額を示さない「事項要求」として記載した。技術を保有する米国と購入に向けた協議を進め、今年末の予算案編成時に詳細な額を計上する方向だという。
 きのうあった日米防衛相による電話会談でも、米国側は自衛隊への導入に積極的に協力する意向を示した。
 ただ、課題がないわけではない。候補地選定、住民の合意形成やテスト期間を考えると、実戦配備まで5年程度はかかりそうで、現在の危機対応には到底間に合わない。
 見込まれる費用は1基当たり約800億円。2基が必要とされる。防衛省はBMD対応のイージス艦を8隻に増強する計画で、屋上に屋を架すことにもなりかねない。人員配置や運用コストも含め費用対効果を見極めるべきだ。
 北朝鮮はミサイル・核開発を驚くべき速さで進化させている。今後、日米の防衛網をかいくぐる技術を身に付けるかもしれないし、同時に多数のミサイルが発射されれば、防御は極めて困難になる。
 軍事力増強で対抗していくならば、「いたちごっこ」を強いられるのは明らかだ。
 ましてや、自民党の一部が保有を主張する「敵基地攻撃能力」は先制攻撃と紙一重。周辺国への戦火拡大につながりかねず、論外だろう。
 「専守防衛」を国是とする日本にとって、防衛力と外交を組み合わせた国家戦略が不可欠だ。どちらか一方に偏ると、危険極まりない。