国内で製造される全ての加工食品に原材料の産地表示を義務付ける新制度が1日、施行された。準備のための4年半の経過措置を経て、2022年4月に完全実施される。
 これまでは加工度合いの低い一部の食品に限られ、消費者庁の店頭調査では、原産地表示があるのは27%にとどまるという。全表示となれば画期的だが、食料自給率が38%(16年度、カロリーベース)と低い日本で可能だろうか、と疑念が湧く。かえって混乱のもとにはならないか。
 昨年10月の素案提示段階から、懸念されたのは例外規定だった。原材料のうち最も重量割合が多いものを国別表示するのが原則だが、輸入先が3カ国以上だったり、頻繁に変わったりする場合には、可能性のある国を列挙することや、「国産または輸入」とする表示もあり得る。
 輸入食材を国内で中間加工した原材料を使う場合に、「国内製造」との表記もあり得る。消費者側に実態を隠そうとしていると、受け取られかねない。
 食品表示はとかく分かりにくく、消費者が願う実態とは大きな差がある。その最たるものといえる遺伝子組み換え(GM)食品も、表示義務の対象拡大が検討されている。
 欧州連合(EU)はGM作物を使った加工食品全てに原則として表示を義務付けるが、日本は一部に限られる。
 国内で食品への使用が認められているのはトウモロコシ、大豆、ジャガイモ、菜種、テンサイなど8作物。これらを原材料とする33の加工食品は重量に占める割合が「上位3位以内かつ5%以上」の場合に「遺伝子組換え」と表示する義務が課される。
 33品には豆腐、納豆、みそ、コーンスターチ、コーン・ポテトスナック菓子などなじみ深い食品が並ぶ。仮に10%超でも4位であれば表示対象外。しょうゆ、ドレッシング、菜種油など、加工の工程で組み換え遺伝子が検出できない食品も対象外だ。
 日本は世界一のGM作物輸入国である。米産のトウモロコシは、その9割がGM作物とされ、それらを原料とする飼料で家畜が育つ。
 避けていたつもりでも、知らないうちに日常的に摂取しているのが現状だろう。GM作物は安全が認められているといっても、歴史が浅く、摂取し続けた場合の影響は検証できていない。そうした事情を知った上で消費者が選択できることが重要なはずだ。
 食品表示法は、「自主的かつ合理的な食品の選択機会の確保」のための適正表示により、消費者の利益増進や需要に即した食品の生産振興に寄与することが目的だ。
 分かりやすく一元化したはずの表示が、誤解や不信を招くのでは本末転倒だ。商品への表記が困難ならば、消費者がアクセスしやすい形で情報を提供する方策を検討してもらいたい。