東日本大震災から6年半がたった。岩手、宮城、福島3県の災害公営住宅は2017年度末に完成率が96%に達し、被災者への住宅供給は最終段階に入る。計画戸数は3県計3万129戸(17年3月現在)。事業の出口が見える一方、近い将来、確実に発生する空室問題への対応が喫緊の課題として浮上している。
 災害公営住宅は「大量」「迅速」を旨に整備された。宮城県の場合、7月末現在の完成戸数は1万4529戸(完成率90.3%)。
 これに対し、817戸の空室が生じている。完成の遅れによる被災者の意向の変化に加え、高齢者施設への移転、死亡による退去も出ている。
 宮城県は4月、災害公営住宅の入居条件を緩和し、被災者以外の入居を容認。被災各市町は相次いで一般入居者の募集を始めた。
 需要が消えたわけではない。宮城県内で応急仮設住宅(プレハブ、民間賃貸住宅借り上げ)の入居世帯数は7月末現在、5987ある。引っ越せない要因として、災害公営住宅が家賃を伴うことや、家賃の特別低減措置が建設から10年間で終了、1万円未満の家賃が2~3倍になることを懸念する向きもある。
 入居を果たしても深刻な高齢化が影を落とす。宮城県が災害公営住宅入居者を対象とした16年度の健康調査報告書によると、65歳以上の入居者は回答者全体の50%。80歳以上は全体の15%に上った。
 65歳以上の要介護認定者は18%で年々増えており、将来、災害公営住宅での暮らしが維持できなくなるケースが続出することが予想される。
 空室の増加は自治体財政を直撃する。維持管理は現在、家賃収入と国の特例補助金で賄っている。補助が終了し維持管理費が赤字になれば、管理状態が悪化し、生活環境を著しく損ないかねない。建物や団地全体が過疎化し、孤独死問題が深刻化するなど負の連鎖が生じる恐れがある。
 対策は急務だ。一般公営住宅を含め、宮城県内の公営住宅は約4万5000戸と震災前の1.5倍になった。災害公営住宅の一般公営住宅への切り替え、高齢者施設への転用、移住者を呼び込むシェアハウスとしての活用などあらゆる可能性を探るべきだ。
 現状の入居世帯の家族構成と先々の変化、消滅に至るまでのシミュレーションを行い、10年後、50年後の対応を検討することも必須だろう。
 被災自治体は震災後、人手や資材不足を乗り越えて住宅整備を進めてきた。人口減と高齢化で、空室問題の顕在化は早くから想定されたが、初期段階において計画戸数を低く見積もる発想は政治・行政双方のリスクを伴った。
 過去の検証は必要だろう。それ以上に、多様な復興施策の前例を作るのは今である。国と自治体は、非常時に組み立てられなかった対策を冷静に構築してほしい。