北朝鮮がきのう朝、北海道上空を越える軌道で、またもや弾道ミサイルを発射した。8月29日に続く暴挙である。
 政府は今回も、東北6県を含む12道県で全国瞬時警報システム(Jアラート)を通じ避難を呼び掛けた。幸い、落下物は確認されず、船舶や航空機にも被害はなかった。
 ただ、新幹線やJR在来線、仙台市地下鉄などで運転が一時見合わせられ通勤・通学の足が乱された。腹立たしさを覚えずにはいられない。
 今回も事前予告なしの不意打ち。この上なく無謀で、危険極まりない挑発行為であると言わざるを得ない。
 北朝鮮に、この暴挙をさらに繰り返させてはならない。必ずや、核・ミサイル開発を放棄させなければならない。
 発射されたのは、中距離弾道ミサイル「火星12」とみられる。飛行距離は約3700キロで、米軍の要衝グアムに届く射程を実証してみせた。
 その狙いは、石油の供給制限に踏み込んだ国連安全保障理事会の新たな制裁決議に反発するとともに、自国経済に圧力が増したとしても、核・ミサイル技術を高度化させる強硬姿勢に何ら揺るぎのないことを示すためとみられる。
 だとすれば、制裁を強化したのにミサイル発射はやまないという「負のスパイラル」が、今回も繰り返されたことになる。圧力強化で抑え込もうとする日米韓との対立は、より先鋭化しよう。
 もっとも、新たな制裁決議で米国が求めた石油の全面禁輸が見送られたのは、中国とロシアが、北朝鮮を決定的に追い詰める制裁に慎重姿勢を崩さなかったからだ。
 北朝鮮が「この二つの大国がわが国の体制崩壊を黙認することはない」と見切って、挑発行動をやめないのだとしたら、国際社会はその包囲網の「ほころび」を突かれ続けている格好になる。
 問われているのは、国際社会の結束であり、中ロの責任ある行動である。
 今回の決議で石炭や繊維製品を含め禁輸対象は北朝鮮の輸出総額の9割以上に及び、石油供給量は約30%削減される。その実効性の鍵を握るのは、最大の貿易相手国であり石油供給元である中国だ。ロシアと共に、決議履行に本気で取り組むべきである。
 対北朝鮮政策を巡るキーワードは「対話」と「圧力」。中ロも加え圧力路線が強化され隙のない包囲網が形成されるとすれば、「窮鼠(きゅうそ)猫をかむ」で北朝鮮が「暴発」する恐れがないとはいえない。全面戦争に発展しかねない軍事行動を誰も望んではいない。
 対話と圧力のバランスをどう慎重に測りつつ事を進めるか。国際社会はそのことにも配慮せねばなるまい。ドイツやスイスが外交交渉の仲介役などとして名乗り出て、米朝を軸にした対話の道を模索している。北朝鮮問題の平和的解決に向け、国際社会はその英知を絞り出したい。