東京電力福島第1原発事故の発生から6年半が経過した被災地の就労支援の在り方に、見直しを迫る調査結果と言えるのではないか。
 福島大うつくしまふくしま未来支援センターが公表した実態調査の中間報告である。被害の大きかった福島県双葉郡に居住していた世帯に聞いた結果、回答者の55.5%が現在は「無職」だった。
 問題は働き盛りでも仕事に就いていない人が多い点だ。15~64歳の生産年齢では31.9%を占めた。20~50代の各年代別も全て20%を超え、5人に1人以上が無職だった。
 東電からの賠償金の存在が背景にあるとみられる。調査では生活のやりくり(複数回答)に関して「賠償金」を挙げた被災者が56.4%に上り、「勤労収入」(32.7%)を大きく上回った。20~50代でも「賠償金」が34~48%と高い割合だった。
 長引く避難生活で、ついの住まいが定まらない中、思うような働き口が見つからずに就職を断念。賠償金を支えに暮らす姿が浮かび上がる。
 未就労者の多さは十分に把握されてこなかった。
 福島県の有効求人倍率は直近の7月で1.44倍と高水準を維持。原発事故の被害が大きかった沿岸部の相双地域は1.74倍とさらに高く、双葉郡の富岡公共職業安定所に限ると5.62倍に上る。圧倒的な人手不足の陰に、未就労者はすっかり隠れていた。
 無職の多さと高い求人倍率。本来は相反する二つの事実から「就労意欲の低下」という課題が浮き彫りになる。
 就労支援はこれまで、就労希望を前提にしてきた。その結果はどうだろう。就職説明会などを開催してきた福島労働局や被災自治体の担当者からは「参加者は多くない」といった声が上がる。
 こうした状況を理由に支援の必要性が薄らいでいると安易に判断することは禁物だ。
 福島大の調査では、今後の賠償金の支払い終了に不安を感じる被災者が8割近くいた。将来の仕事や生活に対する希望が「ない」との回答も5割に達した。被災者の不安は着実に膨らんでいる。就労問題はますます、見過ごせない課題になっている。
 今後は就労意欲をいかに喚起していくかが求められる。被災者支援という観点だけではない。人手不足が深刻化する原発被災地にとって、被災者一人一人が地域再生の担い手になる。自治体や関係機関は真剣に取り組んでほしい。
 まずは実態をきちんと把握することが欠かせない。県や市町村は積極的に避難世帯に相談員らを派遣し、それぞれの現況や不安の声に耳を傾けるようにすべきだろう。
 仮設住宅は今後、避難指示解除に伴い撤去が進む見通しで、避難者は移転先での生活再建に挑むことになる。その時、立ち行かなくならないよう、行政や関係機関は支援の方策を探ってほしい。