安倍晋三首相が仕掛けた突然の衆院解散をきっかけに、一気に加速した野党再編の動きは、野党第1党、民進党の分裂に発展した。
 民進の枝野幸男代表代行はきのう、希望の党(代表・小池百合子東京都知事)への合流に加わらないリベラル系の前議員の受け皿となる、新党「立憲民主党」を結成すると発表した。
 菅直人元首相、長妻昭選対委員長、赤松広隆元衆院副議長、近藤昭一副代表が参加する見込みだという。
 枝野氏は記者会見で「安倍政権の暴走に歯止めをかける」と強調。首相が唱える憲法9条への自衛隊明記には「許されるものではない」と主張した。希望に合流しない理由については「目指す政策の方向性が違う」と指摘した。
 民進が積み上げてきた共産、社民両党との共闘路線を進めるとみられる。一方、希望は民進の前議員を抱え込むとともに、大阪を拠点とする日本維新の会と候補者調整を行い、すみ分けを行うという。
 衆院選は安倍政権と希望、立憲民主との三極の戦いとなることが濃厚になった。野田佳彦前首相、岡田克也元代表、安住淳元代表代行(宮城5区)らのように、どちらにもくみせず無所属で立候補する民進のメンバーもいる。
 民進の前原誠司代表が希望への合流によって、自民、公明の与党と「1対1」の対決に持ち込む、と狙った政界再編劇は早くも瓦解(がかい)。「政権選択選挙」どころか、希望と立憲民主の勢力が激突すれば、結果的に与党を利する懸念が出てきた。
 安倍政権への対抗軸がめまぐるしく変わり、しかも複雑で、国民に極めて分かりにくい構図だ。混迷の度を深めたと言っていい。これで胸をなで下ろしているのは安倍首相ではないか。
 「離党ドミノ」で苦境にあった前原代表が「渡りに船」とばかりに、希望に合流する方針を打ち出した。丸ごとの合流を前提に両院議員総会で了承され、解党が決まった。
 ところが、保守派の小池氏は憲法観や安全保障法制を「踏み絵」にして、自らの考えと異なるリベラル派を締め出す意向を鮮明にしたため、民進は大混乱に陥った。
 小池氏は当初から「選別する」と伝えていたといい、前原氏との間で何らかの「ボタンの掛け違い」があったのか。前原氏が「確信犯」で合流を提案したのであれば、党への背信行為だろう。
 「排除の論理」を振りかざすのではなく、両党の基本政策の事前擦り合わせがあってしかるべきだった。前原氏の先走りの感が拭えない。
 いかに総選挙で生き残るかに四苦八苦しているかのように映る。このままでは、安倍首相の「自己都合解散」を問う政策論争も、かすんでしまいかねない。国民の政治不信が増してしまうのではないか。