指導教員の助教からアカデミック・ハラスメント(アカハラ)を受けていた工学部生の自殺に続いて、今度は学界、産業界の注目を集める有力教授によるパワーハラスメント(パワハラ)が、職員組合から指摘されている。
 ハラスメントの温床となる何かが、学内にはびこっていないか-。そう自問自答するだけの謙虚さも、大学は失っているのだろうか。
 リチウムイオン電池の研究開発で国内最先端の拠点として名高い「山形大xEV飯豊研究センター」(山形県飯豊町)で今年3~5月、職員3人が相次いで退職。センター長の男性教授からパワハラを受けたと、組合に訴えていたことが明らかになった。
 実態の確認と職員への誠実な対応を求める組合に対し、大学はパワハラの有無に関してさえ、明確な回答を拒んでいる。工学部生の自殺が発覚した時と同じく、説明責任を一切果たそうとしない姿勢は職員をはじめ、学生や地域社会の不信と疑念を倍加させている。
 センターを退職していたのは、研究支援担当の男性職員2人と女性職員1人。男性職員の1人と女性職員は3月末、別の男性職員1人は5月末までに退職した。
 職員組合によると、男性職員2人は口汚い言葉で一方的にののしられたり、机に「役立たず」「ボケが!」などと書き置きをされたりするパワハラがあったと訴えた。
 さらに男性職員の1人は昨年9月、学内のハラスメント相談窓口にパワハラ防止の対策を要望した後、今年3月末での雇用打ち切りを通告された。2018年3月まで雇用を継続すると伝えられていた中での唐突な雇い止めで、センター長による報復の可能性も疑われるという。
 組合は5~7月、大学がこうした実態を把握しているかどうかを問う質問書を小山清人学長宛てに2度提出。「センター長によるパワハラが常態化していたことは疑いの余地がない」とした上で、「恐怖心から今も何も言えない状況に置かれている職員がいる可能性もある」と強調した。
 しかし、大学はパワハラに関しては「存否を含めて回答できない」、雇い止めについては「法的手続きを適正に取っている」とする学長名の文書を返しただけ。真摯(しんし)に指摘を受け止めようとする姿勢は全くみられない。
 小山学長は5日の定例記者会見で「パワハラがあれば処分している。処分はしておらず、パワハラとしては把握していない」と述べ、今後、調査を行うかとの質問にも曖昧な答えを繰り返した。
 処分していないから、パワハラとしては把握していないという学長の説明は、不自然で論理的にも倒錯している。センターの看板に傷が付くことを恐れ、無理を通そうとしているとすれば、それこそ大学への冒とくに他ならない。