安倍政権が「地方創生」を掲げて3年がたった。
 東京一極集中の是正、人口減少の克服を目指す看板政策に位置付けられてきたが、目立った成果は上がっていない。そればかりか、手詰まり感さえ漂う。
 もちろん、衆院選の各党公約には地方活性化策が並ぶ。与党は省庁地方移転の実証実験、地方が自由に使える一般財源の総額確保などを掲げる。野党も憲法改正で地方分権の考え方を明記することや、正社員を増やす企業への支援強化を打ち出した。
 だが、人口減少に歯止めを掛け、地方再生につながる処方箋は判然としない。地方の有権者がもどかしさを募らせる選択機会にしてはならない。各党の地方戦略の視点が問われている。
 地方の未来を展望するとき、政治がまず手を付けるべきは、東京一極集中の是正に尽きることは言うまでもない。現状を確認しておきたい。
 安倍政権は2014年、転入者の数が転出者を大幅に上回る東京圏(東京、埼玉、千葉、神奈川の1都3県)の「転入超過」を20年に解消する戦略を決定した。
 13年の東京圏への転入者は約46万6千人。転出者は約37万人で約9万6千人の転入超過だった。戦略はこれを起点に転入者を6万人減らし、転出者を4万人増やすと明記。20年に転出入とも41万人で均衡させることを掲げた。
 現実は目標に遠く及ばない。16年の転入超過は約11万7868人。15年より約1489人減ったものの、転入超過は21年連続となった。
 湾岸部では20年東京五輪・パラリンピック関連の再開発が進んでおり、転入超過が再び拡大すると予測されている。目標は修正が避けられず、「絵に描いた餅」と指摘されても仕方あるまい。
 起爆剤として期待された政府機関の地方移転も、掛け声倒れに終わった感が否めない。地方側は観光庁や中小企業庁、気象庁などの移転を要望したが、決まったのは京都に全面的に移る文化庁だけ。背景に官僚らの「東京中心主義」があるのは明らかだ。
 全国知事会は公示前、与野党8党の選挙公約を採点した。地方税財源の充実、地方創生の推進、人口減少局面の打開など知事会が要望した10項目の政策が、どの程度反映されたかを評価した。
 安倍政権の重点政策に関する項目もあり、与党への評価が高い傾向がみられたが、人口減少対策や働き方改革では与野党の評価が拮抗(きっこう)した。ただ、各党が地方創生で論戦を交わす場面は少なく、他の争点の陰でかすみがちだ。
 選挙戦は最終盤に入る。東北の候補者一人一人に望みたい。党の地方政策をリードする気概を持ち、東京一極集中の打破と地域再生の道筋を示してほしい。政治の力が発揮されなければ、「地方創生」はうつろに響くだけだ。