任期満了に伴う宮城県知事選は22日投票が行われ、無所属で現職の村井嘉浩氏(57)が大量得票で新人を突き放し、4選を果たした。
 宮城の知事が13年目の県政運営に入るのは、5期20年(1969~89年)務めた故山本壮一郎氏以来。村井県政は宮城にとって久々の「長期政権」となる。
 知名度に勝る現職と共産党推薦新人の争いは選択肢が限られた。それでも投票率は53.29%で前回の36.58%を大幅に上回った。これは衆院選と同日選だったことによる相乗効果に過ぎない。
 震災復興の方向性、東北電力女川原発の再稼働への対応、多選の是非などが争点だったが、総選挙の論戦に完全に埋没した。原発再稼働を巡っては新人が反対を鮮明にしたのに対し、現職は言及を避けた。貴重な論争機会が生かされなかったのは残念だ。
 村井氏の得票は82万5460。89~93年に県政を担った本間俊太郎氏が93年に獲得した64万7920票を上回り過去最多となった。陣営は厚い信任とみるだろうが、別の側面も指摘しておきたい。
 村井氏は再選(2009年)、3選(13年)で掲げた「県民党」を今回、曖昧にした。衆院選与党候補との連動を鮮明にし得票に結び付けた。
 そもそも県民党は自民党色を排して幅広い層の支持を得る「旗印」だったはずで、都合のいい方針転換にも映る。県民党から取り残され、消極的選択を強いられた有権者は少なくなかったはずだ。192万有権者のうち90万人が棄権した。全面的に信任されたとはき違えないでほしい。
 4選は大きな節目だ。前知事の浅野史郎氏が「体制は陳腐化する」と3期(93~2005年)で退任した経緯に照らせば、村井県政は「多選」の領域に入ることになる。
 復興加速で発揮した指導力、製造業誘致などで示した行動力は一定の評価に値しよう。半面、2期目後半から3期目にかけては政治姿勢を巡り身内の自民党からも「強引」「独断専行」と多選の弊害を指摘する声が渦巻いた。
 4期目に当たり村井氏が心掛けるべきことは、大量得票に慢心することのない謙虚な県政運営だ。もちろん、復興総仕上げや富県宮城の推進、子育て対策などの重点公約は冷静かつ、果断な実行が求められるのは言うまでもない。
 宮城県政は地方自治の礎を築いた山本氏、地域おこしの旗手と称されながらもゼネコン汚職で失脚した本間氏、地方分権改革派の浅野氏と続いた。県政スタイルはそれぞれ異なるものの、「地方自治の主人公は住民」(山本氏)という政治文化が連綿と続いてきたことは確かだ。
 村井氏は震災という未曽有の危機を乗り越えて4選をつかんだ。その経験を踏まえ、県民の多様な意見を尊重した地方自治を実現してほしい。