安全と品質を第一に、国内外で得てきた日本の「ものづくり」の信頼を失墜させる不正行為と言わざるを得ない。
 日産自動車による新車の無資格検査問題と、神戸製鋼所における製品の性能データ改ざん問題である。
 いずれも不正は組織ぐるみで常態化していたという。深刻に受け止めねばならないのは事実を公表しながら、事態は改善するどころか、むしろ悪化。不正が続けられたり、隠蔽(いんぺい)されたりしたことだ。信じ難いことであり、病根は相当に深いと言うほかはない。
 ルール違反が始まり、当たり前のように横行するようになったのは、なぜか。経営陣は不正を把握しながら、なぜ状況を改善できないのか。
 経営陣の管理責任が問われるのは当然だとしても、その原因について、背景を含めて徹底的に解明しなければならない。その努力を尽くさず再発防止策をまとめても、実効性には疑問符が付こう。両社は第三者の手も借り、まず問題点を全て洗い出すべきだ。
 日産であったのは、国の規定に反し、資格のない従業員に新車の最終検査をさせていたことだ。新車の安全性を担保する制度の根幹を揺るがす許し難い行為である。
 もっと驚かされたのは、発覚後も検査体制が改善されることなく、無資格検査が続けられていたことだ。上層部の意向が現場まで伝わらなかったという。ここでも浮かんでくるのは、「なぜ」だ。
 神鋼で起きたのは、顧客と約束した強度などの仕様を満たさない製品について、検査証明書のデータを書き換え、合格品のように装って出荷していた問題だ。約10年前から続いているという。
 不正は当初のアルミニウム・銅製品から、鉄粉や特殊鋼などに拡大。さらに自主点検する過程で、工場の管理職らが不正を隠す行為があったという。モラルの欠如は甚だしく、隠蔽体質もはびこる。
 どうしてそうなったのか。日産では、コストカットに伴い現場で必要な要員が適正に配置されなくなったという、過度の経費削減がいわれる。神鋼については、受注を獲得し納期を達成するための強いプレッシャーが、現場にかかっていたと指摘される。
 外国勢との厳しい競争にさらされている環境も含め、その背景について、しっかりとメスを入れる必要がある。
 日産は全車出荷停止に追い込まれ、影響は販売店だけでなく部品メーカーにも及ぶ。
 神鋼の製品は車や鉄道車両、航空機などに使われ、その品質が安全性に関わるだけに海外を含め影響は計り知れない。取引先から損害賠償請求が相次げば、業績の悪化は避けられまい。取引先や消費者の信用を裏切る行為の代償は言うまでもなく大きいのだ。
 製造各社は、この不祥事を「他山の石」としたい。事業と現場のありようについて改めて点検してもらいたい。