青森県六ケ所村にある使用済み核燃料再処理工場について、原子力規制委員会が異例の「審査休止」を決めた。
 設備の点検漏れを背景にした保安規定違反が相次ぐなど、事業者である日本原燃の安全管理が、あまりにもずさんだったからだ。
 再処理工場は原子炉で燃やしたウランを取り出し、化学的に処理してプルトニウムなどを取り出す施設。極めて高いレベルの安全対策が必要なのに、原燃は規制委から「安全上の問題以前に、事業を遂行する基本的要件に欠けている」と指摘される始末。
 「失格寸前」にまで追い込まれたのは、ひとえに自らの行いのせいであり、深く反省して出直すしかない。
 ただ、再処理工場を巡る問題は、安全性だけにとどまらない。巨額の費用を要する核燃料サイクルの中核施設だけに、エネルギー政策との関わりも本格的に議論すべきだ。
 未曽有の被害をもたらした東京電力福島第1原発事故によって、原子力の規制が改められた。このため、原発だけでなく再処理工場も新たな規制基準を満たさなければ、運転できなくなった。
 原燃は2014年に申請し、審査が続けられたが、非常用電源建屋などで何度も雨水が流入していたことが発覚。今年4月に合格したウラン濃縮工場の審査でも、放射性廃棄物の不適切管理や、不正な評価書作成が明らかになっている。
 1993年に着工した再処理工場は当初、4年後の97年に完成する予定だった。しかし、トラブルが続いて20回以上も延期している。
 試運転には入ったものの、いまだに完成していない。完成時期が延びる間に、建設費は当初の7600億円から2兆9500億円へ、4倍近くに膨らんだ。
 着工から20年以上もたち、3兆円近い費用をつぎ込みながら、なお未完成というのは異常な状況だろう。途中で断念していても不思議はない。
 いずれ訪れる廃止にも膨大な経費が必要になる。青森市の認可法人「使用済燃料再処理機構」は1兆6000億円と見積もっているが、国の原子力委員会は5年前、3兆6000億円という試算結果を明らかにしている。
 再処理工場は未完成でも、電力各社にとっては使用済み核燃料を運び出せるメリットがあった。各原発の構内で保管したままでは、いずれ満杯になり運転できなくなるが、六ケ所村へ搬出することが可能になったわけだ。
 ただ、本来の目的であるプルトニウムの本格利用は、高速増殖炉開発路線の頓挫によって宙に浮いてしまった。再処理工場を中心に据えた核燃料サイクル政策は今や、破綻が濃厚になったとも言える。
 審査休止を一つのきっかけにして、「脱サイクル路線」の検討を加速させる時期に差し掛かっている。