第4次安倍内閣がきのう発足した。自民、公明の与党が定数の3分の2を確保した衆院選大勝を受けての再船出である。安倍晋三首相には、少数意見にも耳を傾ける謙虚な政権運営を改めて求めたい。
 8月の内閣改造で任命した閣僚が全て再任された。「仕事人内閣」と命名しながら、閉会中審査を除けば、ここまで国会の本格審議に応じてこなかったのは異例だ。
 しかも自民党は当初、首相指名選挙が行われた特別国会の会期を8日間としていた。これでは「言論の府」の役割放棄と批判されても仕方があるまい。野党の要求を受け入れる形で12月9日までとしたのは当然のことだろう。
 ただ、「取引条件」のように、安倍首相の意向を受けた自民党が国会での質問時間の配分を巡って、与野党の議席数に応じて見直すように提案したのは筋違いだ。
 与党側の「自画自賛」の質疑よりも、政策の問題点や首相の政治姿勢を厳しく指摘する野党の声があってこそ、国会の監視機能が発揮される。早くも数の「おごり」が頭をもたげてきたのではないか。
 野党がただす時間を減らし、森友学園の国有地売却問題や加計(かけ)学園の獣医学部新設問題の追及をかわそうとする狙いが透けて見える。
 安倍首相は衆院選直後の記者会見で、「国会審議を全てご覧になった方には、かなりご理解をいただけたと思っている」と語り、もう決着がついたような口ぶりである。
 しかし、これまでの国会の論議で疑念は晴れていない。それどころか、森友学園問題ではごみ撤去費の会計検査院試算など、新たな事実が明るみに出てきた。一つ一つの疑問について真摯(しんし)に答えることが、安倍首相が言う「今まで以上に謙虚な姿勢」を示すことになるのではないか。
 共同通信が選挙直前に実施した世論調査では、内閣不支持の方が支持を上回っていた。それでも勝てたのは野党の離合集散という「敵失」と小選挙区制度という仕組みに助けられた面は否めない。
 消極的支持であることは疑いなく、5年近くの長期に及ぶ「安倍政治」への飽きもうかがえる。強引な政治手法に回帰したり、また不祥事が相次いだりすれば、「1強」が根底から揺らぐことを肝に銘じるべきだろう。
 各種世論調査を見ると、有権者が重視したのは社会保障や景気・雇用といった身近な課題だ。安倍首相が宿願とする、自衛隊の明記などの憲法改正とは懸け離れていることを念頭に、国民本位で政策を推進していく必要がある。
 安倍政権は「1億総活躍社会」「地方創生」など目玉の看板をくるくる変えてきた。今回掲げたのは「人づくり革命」。「国難」とまで言い切った少子高齢化への対策である。今度は看板倒れにならないよう全力を傾注してほしい。それが民意に応える道だ。