有期雇用で働く人が契約更新を繰り返し、通算5年を超えた場合、期間の定めのない無期雇用に転換できるという「無期転換ルール」。改正労働契約法の施行から5年となる2018年4月、本格的な適用開始となる。
 しかし、1年を切っても、制度の周知や対応が進んでいるとは到底言い難い。一層の周知を図る必要があるとともに、企業側にも導入に向けた適切な対応が求められる。
 無期転換ルールは、非正規労働者が働く人の4割を占めると言われる中、雇用安定のために設けられた。改正法が施行された13年4月1日以降に始まる契約が、通算5年の対象となる。
 毎年継続であれば、18年4月以降に更新された契約により、無期転換を申し込む権利が生まれる。労働者から無期転換を申し込まれた場合、企業側に拒否権は認められないが、申し込みがなければ、転換されることはない。
 連合が今年4月、有期雇用で働く20~59歳の男女1000人を対象に、インターネット上でアンケートを実施したところ、「内容まで知っていた」との回答は15.9%にとどまった。他の調査でも、8割以上の労働者が制度を知らない、と答えている。このままではせっかく得られる権利を無にしかねない。
 企業側も、無期転換後の社員の働き方などについて、就業規則の見直しなどが求められる。人手不足が深刻化していることもあり、継続的な雇用に前向きな企業は多い。全社員を正社員とすることを決めた企業も出ている。
 ただ、連合のアンケートで「雇い止めがあった」が5.9%、「契約期間や更新回数に上限が設けられた」が11.9%あり、制度導入の趣旨を無視するかのような対応を取る企業は少なくない。
 企業だけでなく、大学などでもトラブルとなるケースが目立つ。
 東大では雇用中断期間について、法改正後に以前の3カ月から6カ月に延長したという。6カ月以上の空白があった場合、前の契約は通算できなくなることから、東大教職員労組は「無期転換を阻止する脱法的な措置と考えるのが自然だ」と批判する。
 東北大では、5年を超えた雇用契約の更新が常態化。無期転換が認められるはずの非正規職員1000人超が雇い止めの対象になるという。大学側は来年4月以降、「限定正社員」制度を新設するというが、採用規模などは明らかにしていない。
 文部科学省の調査によると、3月末時点で国立大学で「契約更新に上限を設けない」としたのは86法人中、わずか6法人しかないという。
 「働き方改革」を掲げる安倍政権。さまざまな法改正を掲げているが、既に改正された仕組みを円滑に導入できなければ、「仏造って魂入れず」になりかねない。