議論すればするほど、当初の計画の不十分さが浮き彫りになるばかりだ。まして疑念の解明には程遠い。
 学校法人「加計(かけ)学園」(岡山市)が愛媛県今治市で進める岡山理科大獣医学部新設問題を巡って、衆院文部科学委員会がきのう開かれた。
 大学設置・学校法人審議会(設置審)による認可の答申を受け、14日に林芳正文部科学相が既に認可を発表していた。それを待っていたかのような委員会の開催である。
 さらに土壇場まで質問時間の配分を巡って与野党対立が続いていた。野党側が「どうして国会審議を待たずに認可したのか」といういら立ちをぶつける場となった。
 内閣府が担当する国家戦略特区制度の事業者選定の段階で、難点だらけの計画がなぜ認められたのか。その解明と政府の責任追及が「加計ありき」で進んだ獣医学部新設の真相を裏付けることにつながる-。野党はそこに突破口を見いだそうと追及した。
 文科省は今回、設置審の審査の概要を公表した。「ライフサイエンス研究分野などで人材需要が不明」などと、8件の是正意見を指摘していたことが分かった。抜本的見直しがなされないと、不認可の恐れが生じる「警告」対象でもあった。
 野党側が問題にしたのは、この是正意見と2015年に閣議決定された「具体的需要がある」など「学部新設の4条件」との整合性だ。
 「内閣府で4条件のクリアはどのように検証されたのか」「言葉の羅列だけで認めたのではないか」。野党の指摘に対して、内閣府の政務官は「異論がなかったことは確認されている」と曖昧な答弁を繰り返すだけだった。
 質疑で明らかになったのは、設置審が4条件をクリアしているかどうか審査していなかったことだ。そもそも是正意見と密接に絡む4条件が整っていなければ、認可はできないはず。踏み込んで審議すべきだったのではないか。
 林文科相は「学園の計画は特区制度の認定を経て認められた構想であり、4条件の審査自体は設置審の役割ではない」と、特区制度との視点の違いを強調した。
 今後、構想を具体化するために「毎年報告を求め、課題があれば改善を求めるなどフォローしていく」と説明したが、甘い解釈で及第点を与えた印象は拭えなかった。
 「まるで答えを教えながら何回でも試験を繰り返す試験官のようだ」と批判した野党議員の懸念はもっともだ。
 野党は安倍晋三首相の友人である加計孝太郎理事長の国会招致を改めて求めた。公の場での説明は不可欠だろう。
 問題の核心は、不公正な行政手続きや政治の関与があったかどうかにある。今回の審議には安倍首相が外遊中のために出席できなかった。国民の疑念が晴れるまで、さらなる審議を求めたい。