欧州連合(EU)欧州委員会による日本の農林水産物輸入規制が、12月に緩和されることが決まった。一歩前進と受け止めたい。
 規制緩和を受け、内堀雅雄福島県知事は「国内外における県産品の風評払拭(ふっしょく)と、さらなる輸入規制緩和につながることを強く期待している」と歓迎のコメントをした。
 とはいえ、東京電力福島第1原発事故から6年8カ月を過ぎたにもかかわらず、放射性物質への不安がまだ根強いのも現実だ。
 政府は今後ともさまざまな機会、手段を通じ、科学的な根拠に基づいて国際社会で迅速な理解と実績を積み重ねていく必要がある。
 今回、規制が緩和されるのは福島県産米や水産物、山菜類など。欧州委は従来、日本の政府機関が発行する放射性物質検査の証明書添付を求めてきたが、対象から外れると不要になる。
 また、福島米の規制が解除されることで、他の都道府県の米を扱う輸出事業者らが、福島産でないと証明する必要もなくなる。
 これまで原発事故が引き金となり、50を超える国や地域で輸入規制が実施された。その後、緩和が進んだものの、農林水産省のまとめでは10月時点で、約10カ国・地域が輸入停止措置を継続している。
 その多くは日本の主要輸出先のアジアだ。
 香港は福島など5県の野菜や果物、中国は宮城など10都県の全食品、韓国は青森など8県の水産物の輸入を停止した。福島など5県の食品輸入を全面的に止めている台湾では昨年、政府が規制緩和を打ち出したが、野党の猛反対で政治問題化した。
 輸入停止をしていない国・地域でも、EU同様に検査書類や証明書の提出を求めるところはあるという。
 安倍政権は、2019年に農林水産物・食品の輸出額1兆円を目標に掲げる。11年に4511億円に落ち込んだ輸出額は、16年に過去最高の7502億円まで増加した。
 目標達成には、東北をはじめとする産品への規制緩和・撤廃は欠かせないはずだ。その中で政府が韓国を相手に世界貿易機関(WTO)へ提訴し、先月、「一審」で有利な判定を得たのは心強い。
 消費者庁が10月に公表した食品の放射性物質に関する意識調査によると、購入をためらう産地として、13.2%が「福島」、8.1%が「岩手・宮城・福島」の被災3県を挙げた。
 意識調査は10回目となる。13年の第1回から数値は減少を続けているが、なお1割前後残っている。検査をしていることさえ知らない人はまだ4割近い。
 福島県産をはじめとする農林水産物への風評被害がなくなり、被災地での生産が活発になることが復興の証しとなる。政府が対処すべき課題はまだまだ多い。