いいかげんに「都合のいい財布」扱いするのはやめたらどうか。2018年度の税制改正に向け、浮上しているたばこ税値上げ案のことだ。
 先進国の多くは喫煙抑制のために価格を大幅に引き上げており、日本の倍以上となる1箱1000円を超える国も少なくない。主に税収面の要請から価格を上げようとする日本の政策はもはや、時代遅れなのではないか。
 現在、日本のたばこ税は1箱440円とすると、約245円。消費税も加わり、価格の63%が税金だ。政府、与党の案では19年10月の消費税増税の際に、軽減税率導入時の減収分の穴埋めとして、1本当たり3円を1年1円ずつ増税するという。
 そもそも穴埋め財源になるのかどうかが疑わしい。
 この20年でたばこは4度増税(新税を含む)されているが、税収は2兆円台前半で推移し、国と地方で分け合っている。直近では10年10月に1本当たり3.5円の増税があり、11年度は約2700億円税収が増えたが、14年度は10年度とほぼ同水準に戻った。
 喫煙者数、販売数量が減少する中、増税しても一時的な効果しかなく、むしろ税収水準維持でしかない。
 05年に発効した世界保健機関(WHO)提唱の「たばこ規制枠組み条約」は、日本も批准しており、たばこの値上げはこの条約趣旨に沿っているとは言える。
 ただ、諸外国はもっと徹底している。比較的愛煙家が多いと言われるフランスではこの7月、1箱約900円から1300円に引き上げる計画を発表。オーストラリアでは今年から4年間、税率を12.5%ずつ上げ、最終的には1箱3200円ほどになるという。どちらの国も喫煙者を減らすのが大きな目的だ。
 日本の場合、値上げの際には健康対策を掲げながらも、税収減や各方面への影響を恐れて、数年おきに数十円単位の値上げを繰り返しているように映る。
 もちろん、打撃を受ける関係者もいるだろう。東北は葉タバコ主産地で、14年度実績でも生産額上位10県に山形、宮城を除く4県が入る。
 ただ、生産規模は全国で1985年度の約7万8600戸、約4万8000ヘクタールから、16年度には約5900戸、8500ヘクタールまで減少。日本たばこ産業は国内生産分の3倍の葉タバコを輸入し、国内分を政策的に海外の3倍近い価格で買い入れている。
 小売店からの反発もあるだろうが、販売の多くはコンビニエンスストアや自動販売機に移っているとみられている。影響は以前に比べて小さくなっているはずだ。
 自民党の受動喫煙防止議連は昨年10月、「1箱1000円以上に」と政府に申し入れている。たばこ税増税の理由に健康対策を掲げるのであれば、提案を真剣に検討すべき時期なのではないか。