財政規律の徹底が長年指摘されているにもかかわらず、税金の浪費や不適切な会計処理が依然目に余る。
 会計検査院が公表した2016年度の決算検査報告によると、官公庁などの無駄遣いは423件、総額は約874億円だった。件数、金額とも過去10年で最少とはいえ、決して喜べる状況ではない。
 省庁や自治体などは公金を扱う重い責任を改めて自覚し、襟を正してほしい。
 報告では、東日本大震災の復興事業や東京電力福島第1原発事故関連でも指摘があった。原発事故関係の従事者向け健康管理システム事業で、文部科学省所管の量子科学技術研究開発機構の支出が不当とされた。
 東電や警察、消防など計10万人分の健診データを収集する計画が頓挫。645人分しか集まらず事業の進展が見込めなくなったのに、システム維持の契約など約1億2900万円の支出を続けていた。
 事業を止める決断ができないのは致命的である。コスト意識の欠如と言うほかない。ずさんな取り組みで、事故後の疫学研究や健康管理支援が無に帰すとすれば残念だ。
 文科、農林水産、経済産業、国土交通、防衛の5省の復興事業では、余った計約20億円の予算を復興特別会計ではなく、一般会計に納入させるミスが明らかになった。
 放置すれば復興財源が確保されず、復興債の管理に支障を来す恐れもあったという。
 会計処理の公正さは中央官庁だけでなく、交付や補助を受けた自治体、事業団体にも同じように求められる。
 復興交付金の対象にならない避難路整備の経費を復興交付金基金から取り崩したケースや、グループ化補助金を過大に算定していた団体もあった。細心の注意が必要だ。
 今回の報告で検査院は集中復興期間(11~15年度)の事業を総括した。国が計上した復興予算33兆4900億円中、27兆6200億円が執行され、繰越額を除く不用額は4兆4500億円だった。
 余剰金返納に当たって検査院は「国庫補助金などが復興財源の原資になっていることに留意してほしい」と適正な処理にくぎを刺している。
 復興財源の捻出は容易でない。復興・創生期間中(16~20年度)に入り、被災3県には地元負担が導入された。所得税額に2.1%上乗せする復興特別所得税も継続している。納税者の負担に支えられていることをわきまえたい。
 政府は、国の事業を俎上(そじょう)に載せ公開の場で点検する「秋のレビュー」を今年も行い、国民へのアピールに躍起だ。
 しかし、肝心なのは前年実績や踏襲主義にとらわれることなく、本当に役に立つ事業を選別するため不断のチェックを怠らないことだ。
 19年秋には消費税増税も予定されている。省庁などの無駄遣い排除を徹底しなければ国民の理解は得られまい。