東京電力福島第1原発事故に伴う指定廃棄物などを埋め立てる福島県富岡町の最終処分場で、廃棄物の搬入が始まった。地元や周辺住民の複雑な思いを背負い、全国初の施設が動きだしたという事実を、管理する国や関係自治体は肝に銘じるべきだろう。
 県内で発生した放射性物質濃度が1キログラム当たり8千ベクレル超10万ベクレル以下の指定廃棄物や、避難指示が出た区域の災害廃棄物などを埋め立てる。放射能に汚染された廃棄物を半永久的に管理することになる。
 指定廃棄物は11都県に計約20万トンある。このうち福島県が焼却灰を中心に17万トン余りを占め、県内33市町村の計106カ所で保管されてきた。
 地元は処分の必要性を理解しながらも、放射能と風評被害に対する不安や懸念を拭えずにいる。「搬入には反対だが諦めるしかないのが現実」「課題となっている避難先からの町民の帰還妨げになってほしくない」。搬入開始時の住民の言葉をしっかり受け止める必要がある。
 何より、国は運搬や埋め立て、管理の全ての段階で、安全性の確保を徹底しなくてはならない。
 埋め立てに要する期間は6~10年。搬入する10トントラックは1日最大65台に上る。安全走行はもちろん、積載する廃棄物入りの袋の管理なども十分な注意が必要だ。
 処分場では廃棄物そのものに加え、廃棄物に触れて汚染する可能性のある浸出水の管理と処理が問われる。環境省は重金属などを取り除いた後、基準を超える放射性セシウムが確認された場合は吸着塔で除去し、基準を満たすことを確認した上で放流することにしている。
 埋め立てなどの作業時以外は全面をシートで覆うなど雨水対策も施しているが、台風など豪雨時に万が一のことがないように不断の点検や見直しが欠かせない。
 情報公開の徹底も当然だ。環境省は施設周辺の空間放射線量や処理水の放射能濃度などを常に計測し、ホームページで公開している。異常が確認された場合など、速やかな公表が求められる。
 環境省は福島以外に、指定廃棄物の発生量が比較的多い宮城、栃木など5県でも処分場建設を計画したが、いずれも候補地の自治体や住民の強い反対などで、進展がない。
 一部では以前、各県処理の原則に反し、福島集約を求める声が出た。処分場稼働を受け、そうした意見が再浮上する可能性が指摘されるが、福島への廃棄物押し付けは容認できない。国と関係自治体は改めて認識を共有すべきだ。
 さらに、福島県や富岡町など地元自治体には国による管理体制を厳しく監視する役割が求められる。環境省と各自治体が結んだ協定に基づき設置された環境安全委員会の責任は極めて大きい。管理と監視を大前提にした廃棄物の搬入開始だと再確認したい。