2カ月以上も軍事的な挑発行為がないことから「北朝鮮情勢の潮目が変わりつつあるのではないか」、そう勝手に思い描いた希望的観測はやはり、的外れに終わった。
 きのう未明、北朝鮮が弾道ミサイルを発射した。青森県西方の日本の排他的経済水域(EEZ)に落下した。
 青森県沖の日本海では数十隻のイカ釣り漁船などが操業していたという。幸いなことに船舶や航空機の被害は確認されなかったとはいえ、断じて容認できない暴挙であることは言うまでもない。
 ミサイルは、奇襲能力を誇示するかのように夜間に、しかも高い角度の軌道で打ち上げられた。多段式の大陸間弾道ミサイル(ICBM)とみられ、通常軌道なら飛距離は過去に例のない1万3千キロ以上で、米国全土が射程に入ると初期分析された。
 北朝鮮は、新型のICBM「火星15」の発射実験に成功したとの政府声明を発表した。超大型の重量級核弾頭が搭載可能とし、金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長が「国家核戦力の完成」を宣言したという。
 ミサイル開発が、また一段と進展したことは間違いあるまい。ただ、弾頭の大気圏再突入技術をはじめ、米本土全域を攻撃できる核ミサイルを開発、保有したのかどうか。「火星15」について、米国を中心に慎重かつ徹底的に分析しなければならない。
 その結論を待ちたい。
 今回のミサイル発射で、国際社会による制裁下にあり、トランプ米政権によるテロ支援国家再指定と独自制裁強化を受けても、北朝鮮は「絶対に屈しない」との強硬姿勢を明確に示したといえる。
 もっとも、そのことは国連安全保障理事会の決議に対する明白な違反であり、日本や韓国のみならず、地域と世界の安定を無差別に脅かす挑発行為だ。そう言うほかない。
 北朝鮮に核・ミサイル開発を断念、放棄させる。その実現に向け、国際社会の結束が改めて問われていると言わざるを得ない。
 石油の供給制限にまで踏み込んだ国連安保理の制裁決議を、力を合わせて徹底履行すべきだ。同時に、平和的な解決を目指し、必要なら米朝対話の仲介を含め、あらゆる手だてを講じる必要がある。
 なぜなら、北朝鮮の「国家核戦力完成」宣言に伴い、軍事的選択肢を排除しない米国との軍事緊張がエスカレートする恐れを否めないからだ。
 ただ心強いのは、ティラーソン国務長官が「米国は非核化に向けた平和的な道筋を探る」と強調したことだ。カナダと共催で、朝鮮戦争の国連軍参加国と日本を含む関係国による外相級会合を開き、北朝鮮対応を協議するという。
 板門店(パンムンジョム)から韓国に亡命した北朝鮮軍人について、米国務省は「兵士でさえ極度の栄養失調状態にある」と指摘する。経済制裁の効果も見極めつつ、対応に知恵を絞りたい。