住民の安全をあまりに軽んじている。沖縄県宜野湾市の小学校の運動場に米海兵隊普天間飛行場所属のヘリコプターの窓が落下した。緊張感の欠如としか言いようがない。
 一つ間違えば大惨事になっていた。宜野湾市議会はきのう、児童らへの謝罪と原因の徹底究明を求める抗議決議案などを全会一致で可決した。当然のことだ。
 窓は金属製の外枠付きで約90センチ四方、重さは8キロ近くあった。体育の授業中だった児童約60人との距離はわずか十数メートル。落下の衝撃ではじき飛んだのだろう。小石が男児1人の腕に当たったという。
 小学校に隣接する同飛行場から離陸したCH53E大型輸送ヘリが落とした。県は「小学校の上空はそもそも日米で合意された飛行ルート外」と指摘しており、逸脱飛行が常態化していた可能性が高い。
 落下の原因究明に向け、14日、沖縄県警が飛行場内でヘリの状況を調べた。日米地位協定では基地の管理権や捜査権は米側にあり、異例の対応だった。米軍が事故の重大性に配慮したとも受け取れる。
 一方で地位協定に基づき日本側は落下した窓を米軍に渡した。唯一の物証がなくなり、立件は難しくなった。結局、地位協定の壁が沖縄の人たちの不安解消を阻んでいる、と言われても仕方がない。
 落下原因はいつ、どうやって明らかになるのか。再発防止策も示されず、当事者の住民は事故のたびに、いつも蚊帳の外だ。地位協定見直しへ早急な議論が求められる。
 米軍機のトラブルは多過ぎる。落下物事故は1972年以降、計67件(11月末現在)。今月にも普天間飛行場に近い保育所の屋根で円筒状の物体が見つかり、騒ぎになったばかり。米軍は否定するが、輸送ヘリの装備品と同型だった。
 機体自体の事故では、昨年12月に輸送機オスプレイが名護市沿岸に不時着、大破した。今年10月に東村高江の民有地に緊急着陸し、炎上したのもCH53Eヘリだった。
 日常茶飯事と言っていい事態ではないか。危険と隣り合わせの苦難は県民にしか分からない。政府は米軍基地の約7割が集中する沖縄の負担の重さを改めて認識すべきだ。
 かつて普天間飛行場を巡って、当面の危険性除去のために小学校、病院などの施設移転や、滑走路を短くして延長線上のエリアに学校などのない緩衝地帯を設ける議論があった。「移転は飛行場の固定化につながる」という反対論もあり、実現しなかった。
 だからといって「辺野古移設が危険除去の唯一の解決策」と新基地建設を進める政府の姿勢では何の理解も得られまい。県民の負担軽減にはつながらないからだ。
 児童らは「怖くて外で遊べない」とおびえているという。沖縄を覆っている不安やいらだちがどれほど深いか。その思いを国民等しくわが事として受け止める必要がある。