経済成長を見込み税収が増えるというのに、借金依存体質に目立った改善は見られない。一方で、放漫な支出構造は温存されたままだ。これでは、先進国で最悪の財政が健全化に向かうわけがない。
 きのう閣議決定された2018年度政府予算案についてそう言わざるを得ない。
 一般会計総額は約97.7兆円と、また過去最大を更新した。このことだけでも財政規律の緩みは隠しようもない。
 健全化に向け、借金である新規国債発行額は8年連続して減るという。だが、それでも歳入に占める割合、国債依存度は34.5%に上る。依存症が治る兆候はない。
 財政再建を巡る、この政権の危機感の乏しさをさらに物語るのは、政策経費を主に税収でどれだけ賄えるかを示す基礎的財政収支の赤字幅だ。
 10.4兆円。税収は約1.4兆円増えるのに、赤字幅は約0.5兆円縮小するだけである。政権は消費税再増税の一部を「人づくり革命」に回すため、20年度達成を断念しながらも、この収支の黒字化目標は堅持すると強調した。
 18年度はその仕切り直しの初年であるにもかかわらず、わずかな改善にとどまる。やる気を疑うほかはない。
 歳出の抑制も不十分だ。
 政府の予算編成方針は、看板である人づくり、生産性両革命に重点配分するとともに歳出全般にわたる「聖域なき徹底見直し」をうたった。
 確かに、子育て・教育の取り組みは一歩前進といえる。待機児童解消に向け、まず11万人分の保育の受け皿を整備し、高等教育では給付型奨学金の支給対象を2万3千人と約8倍に増やすという。
 だが、歳出の見直しは今回も掛け声だけで終わった。
 防衛費は安倍政権になって6年連続で増額となる。北朝鮮情勢を理由に、ミサイル防衛の整備が図られる。だが、その装備が本当に有用なのかどうかを含め、国会で十分に議論し吟味する必要がある。
 歳出削減との絡みで疑問を残したのは、医師らの技術料や人件費に充てる診療報酬本体部分のプラス改定である。
 国民の負担に直結する。10月の衆院選で自民党を支えた医師会に対する見返りとされるだけに、既に高額な医師の報酬をさらに優遇することに国民の理解が得られようか。
 社会保障費は全歳出の3分の1強、約33兆円に上る。高齢者に応分の負担を求めることとも併せ、大胆にメスを入れなければ、財政再建が遠のくだけでなく、ほかの費目が圧迫され暮らしにしわ寄せが及ぶことにもなりかねない。
 防衛費を含め、こうした「聖域」の見直しを決して看板倒れにしてはなるまい。
 25年には団塊世代が75歳以上になり、社会保障費は一層膨らむ。将来世代にツケを回さないため、中長期的な視点に立った社会保障制度改革と財政再建は不可欠だ。その姿勢を政権に強く求めたい。