危険と隣り合わせの住民の不安はいかばかりか。沖縄県で米軍のヘリコプターの不時着が相次いで起きた。いずれも普天間飛行場(宜野湾市)所属の攻撃ヘリで、住宅やホテルまで数百メートルという程近い場所に降下した。
 「こんなことが続いては、いつか大事故が起きる」「日本政府は米軍にもっと強く抗議してほしい」。米軍に対して煮え切らない態度を示すような政府に対して、住民の怒りの矛先が向くのは当然だろう。不信払拭(ふっしょく)のためにも毅然(きぜん)とした対応を取るべきだ。
 小野寺五典防衛相は9日、マティス米国防長官と電話会談し、再発防止や点検整備の徹底を申し入れたが、むしろ遅すぎた感じだ。
 マティス氏は謝罪して要請に応じたという。しかし、その言葉はにわかに信じられない。これまでトラブルを繰り返しても、米軍はその度に訓練を優先させ、早々に飛行を再開させてきたからだ。
 実際、県の事故原因究明までの飛行中止要請を無視する形で、9日には不時着事故を起こしたヘリをもう飛行させている。
 6日にうるま市の伊計島に不時着したUH1ヘリは、主回転翼の速度超過を示す異常が表示され砂浜に降りた。主翼を取り外し、無残な姿でつり上げられ撤去された。
 2日後に読谷村の廃棄物処分場に降りたAH1ヘリも警告灯が点滅し、切迫した状況の不時着だった。米軍は「事故を避けるための予防的着陸だった」と説明するが、共に機体の整備点検の不徹底を疑わざるを得ない。
 伊計島では昨年1月にもAH1ヘリが動力系統の不具合とみられるトラブルで農道に不時着した。10月に東村の民有地に不時着したCH53大型輸送ヘリは炎上、大破した。
 宜野湾市の小学校の運動場に窓を落下させた大型ヘリの事故は先月半ばだ。それからまだ1カ月もたっていない。
 頻発する米軍機のトラブルの背景には、核・ミサイル実験を繰り返す北朝鮮情勢の緊迫化が影響しているとの指摘もある。半島有事を想定した訓練が増加しているという。
 であるなら整備点検漏れというレベルの話ではなく、組織全体の問題として取り組まなければ、解決にはつながらないだろう。体制や訓練のありようを見直さない限り事故はまた起きるのではないか。
 根本的には日本側の事故捜査や検証の権限を阻む地位協定の壁が、常に立ちはだかる。政府は協定見直しを繰り返し要求していくべきだ。
 同県の富川盛武副知事は「これまで以上に突っ込んだ要請をしないと県民が安心して暮らせない」と述べ、米軍と政府、県による協議会の設置を求める考えという。
 基地関連のトラブルに関する地元意見を、米軍の対応に反映させるシステムは最低限必要だ。実効性のある仕組みづくりを急いでほしい。