野党が「多弱」のままでは「安倍1強」に対抗できない、という理屈は分かる。それでも、「数合わせ」の懸念が拭えない。
 希望の党と民進党はきのう、幹事長・国対委員長会談を開き、衆参両院で統一会派を結成する方針を確認し、基本政策を含む合意文書を取り交わした。
 両党は「野党が大きな固まりとなる動きの第一歩だ」(希望の古川元久幹事長)「安倍政権と対峙(たいじ)していく態勢をつくる」(民進の増子輝彦幹事長)と意義を強調した。
 衆院での勢力を見ると、希望が51議席、民進系の「無所属の会」が14議席。統一会派が実現することになれば、衆院でも立憲民主党(54議席)を上回り、衆参両院で野党第1会派になる計算だ。
 第1会派は野党を代表して、国会日程などについて与党側と交渉する。衆院では、その役割が立民から新たな統一会派に移ることになる。国会運営上のメリットはあろう。
 2019年の参院選や統一地方選での選挙協力をにらんだ思惑も働いたはずだ。野党候補が林立することになれば、批判票が分散し与党を利することは目に見えている。
 ただ、肝心なのは基本政策の擦り合わせである。両党には安全保障関連法や憲法改正を巡って、それぞれの主張に隔たりがあるからだ。
 民進は、安保法の集団的自衛権行使について「違憲」という立場なのに対して、希望は「容認」を打ち出してきた。改憲についても希望は議論に前向きで、民進は消極的なスタンスである。
 この溝をどう埋めていくのか。両党の合意文書を見る限り、「玉虫色」と言われても仕方があるまい。
 安保法の取り扱いについて「違憲と指摘される部分の削除を含め、必要な見直しを行う」と記した。「違憲」の文言を盛り込んだものの、「指摘される」と加えることで違憲性を曖昧にした。
 改憲に関しても、当たり障りのない表現だ。「立憲主義に基づき、現行憲法の国民主権・平和主義・基本的人権の尊重という三原則を、より担保する観点から議論する」にとどめた。
 民主党時代を含めて、これまでの民進の反省が生かされているとは到底思えない。
 保守派とリベラル派が混在していたため、対立が深い政策について曖昧にしてきた。結局、ごたごたした揚げ句、離合集散を繰り返してきた。立民が統一会派に冷ややかなのはそのためだ。「寄り合い所帯」の弊害を、まさか忘れたわけではあるまい。
 今後、統一会派がすんなり結成されるかどうかは不透明。両党から反対の声が上がっており、党内調整は一筋縄ではいかないだろう。強引に進めれば、分裂もあり得る。
 同じ轍(てつ)を踏んで有権者の不信を増幅させては元も子もない。拙速は禁物だ。