公開されれば国益が害される恐れがあるなどとして国が長年、公開を拒んできた内閣官房報償費(機密費)の闇の一端に初めて光が差した。
 市民団体メンバーが機密費に関連する行政文書の開示を求めた、3次にわたる訴訟の上告審判決で、最高裁は支払先の特定につながらない一部文書の開示を認めた。1、2次では二審の大阪高裁も一部開示を認めていた。
 公開される文書は政策推進費受払簿など3種類で、月ごとの支払額などが記された部分。大まかな資金の流れがつかめる。ブラックボックスと言われた機密費の実態に一歩踏む込んだ意味は大きい。
 一方で支払決定日と金額が明記された部分からは、相手方や使い道が特定できる場合がある。最高裁は「公になれば国の重要政策など事務の適正な遂行に支障を及ぼす」と関係部分を不開示とした。
 核心は依然として、やぶの中と言わざるを得ない。
 ただ、最高裁は今回、開示請求された文書を個別に精査し、公開可能の範囲を子細に見極めた。結果として、ほぼ全面非開示とされた二審判決(3次訴訟)より公開範囲を広げた形だ。
 国家の機密保持と、情報公開の推進とのバランスに腐心した最高裁の判断と言えるのではないか。
 そもそも今回の訴訟は、国の機密を暴き出すのが目的でないことは明らかだ。判決を受け原告代理人は「月の使用額が分かれば政府がでたらめな使い方をしないよう抑止効果をもたらす」と指摘した。
 国民の厳しい監視の目を踏まえ、政府が今後、どう自己改革の姿勢を示すかが一つの焦点になろう。
 年間約14億円の機密費は、主に非公式な協力や情報提供の対価とされるが、過去には議員の背広代やゴルフ代などの支出、野党対策の工作費としても配られたという。
 そんな後ろ暗い出費のために国民の「知る権利」が犠牲にされてよいわけがない。
 最高裁の判断に沿い国民の開示請求に誠実に対応するのはもちろん、「原則公開」を目標に公正な政治を目指すのは政府の責務だろう。
 2009年からの民主党政権時代、使途公表に向けて機密費改革に取り組んだことがあった。定期的に支出額を発表したり諸外国の調査をしたりしたものの、実現できずに終わった。安倍政権でも一歩も進んでいない。
 テロ対策などの危機管理や国際問題などで機密費の支出の局面は今後も増えるのではないか。使途が隠されれば、重要政策の決定過程も国民には伝えられないことになる。
 機密を盾にとって公開を拒む姿勢では国民の不信を買うだけだ。今回の判決を土台にどこまで開示できるか、ルール化の道を探るべきだ。即時開示が難しいのなら、数十年の期間を置いて使途を開示することも検討してほしい。