2018年3月、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故は発生から8年目に入る。東北の被災3県のうち岩手は復興計画の最終年度、宮城の計画は最終段階の「発展期」へ移る。一方、被災者の生活課題は個別化し深刻化している。同じ時間軸で、行政と個人の復興度は乖離(かいり)している。
 被災地は今年、多くの被災世帯が家計を直撃する課題に直面する。
 一つは18年度に始まる災害公営住宅の家賃引き上げだ。国の補助制度で、低所得世帯が入居から5年間受けてきた家賃の軽減措置は段階的に縮小される。6~10年目、家賃は上昇し続け、11年目に一般の公営住宅と同水準になる。
 引き上げ対象は被災3県の入居世帯2万4436(昨年11月末現在)の73%に当たる1万7829世帯。復興庁は自治体が独自判断で減免を続けることを認めるものの主体的な対応は取らず、自治体間で格差が生じている。
 被災世帯に市町村が最大350万円を貸し付ける災害援護資金の返済も本格化する。宮城県内の市町村は11年6月に融資を始めた。6年の猶予期間を経て今年以降、返済に追われる世帯が急速に増えていく見通しだ。
 宮城県内では、32市町村が約2万4000人に計約405億円を貸し付けた。償還額は昨年3月末時点で37億円にとどまる。
 発生から23年となった阪神大震災の被災地で、災害援護資金の返済問題は大きな復興課題となっている。兵庫県内では13市が計1309億円を融資した。このうち777億円を貸し付けた神戸市は未返済額約31億円について、大幅な返済免除を求めて国と協議を進める。
 時間とともに震災は風化し、被災者の「自立」が折に触れ、語られるようになった。多くの被災者が、改めて震災の理不尽さを突き付けられているのではないか。
 家賃補助や災害援護資金の財源が税金であることは言わずもがなである。個人の財産形成に関わるだけに、行政が支援継続に二の足を踏むこともあるだろう。
 だが、ここで立ち止まって考えたい。復興に周回遅れする被災者は、なぜその立場に追いやられたのか。
 7年の歳月はもともと高齢化、過疎化が進んでいた被災地の暮らしと経済をさらに悪化させた。被災した沿岸部の中小零細企業は、基幹産業の水産加工業を中心に販路回復に至っていない。地域の持続可能性は今も不安定だ。
 大災害に対処する国の支援制度は、東日本大震災と原発事故を機に相当程度拡充された。見方を変えれば、制度設計はいまだ現実に追い付いていないとも言える。
 個々の復興への足取りを確固たるものとするため、この一年、国や自治体は未曽有の体験からさらに学び、将来へつなぐ「解」を探ってほしい。