日米原子力協定の自動延長が今月決まった。日本の核燃料サイクル政策の生命線となっている協定なのに、ほとんど議論されないまま延長される結果になったのは残念だ。
 取りあえずサイクル政策を続けられることになったものの、破綻を繕って使う見通しのないプルトニウムをため込めば、国際的な批判を受けかねない状況に変わりはない。
 国や電力業界が進めるサイクル政策は、原発で発電に利用した後の使用済み核燃料からプルトニウムを取り出し、再び原子炉で燃やそうという内容。そのためには日米協定が不可欠だった。
 ウランなどの核物質は核兵器への転用を防ぐため、どの国で産出し、濃縮されたのかといった「国籍」が極めて重視される。供給する国とされる国が協定を結ばなければ、ウランなどの取引はできない仕組みになっている。
 日米原子力協定は1968年に結ばれ、大量の原発用濃縮ウランが米国から日本に供給されるようになった。ウランを原発で燃やした後に残るプルトニウムを取り出すのが再処理だ。元をたどれば米国製ウランであり、米国の了解が必要になる。
 長期的に再処理できるよう、1988年に改定したのが今の日米原子力協定。期限は30年後の今年7月16日だが、半年前までに両国とも協定終了を通告せず、そのまま延長されることになった。
 核燃料サイクル政策にこだわる国や電力各社には好都合だが、余剰プルトニウムの解消という難題が待ち受けている状況に変わりはない。
 内閣府が昨年8月にまとめた「プルトニウム管理状況」によると、日本が保有するプルトニウムは2016年末時点で、英仏両国で再処理し保管中が37.1トン、国内9.8トンの計46.9トンに上る。
 プルトニウムは核兵器への転用が最も心配される物質だ。必要もないのに保有することは国際的に疑念の目を向けられる。日本も当然、使い道を明確に示さなければならないのに、はっきりしない。
 その理由は核燃料サイクルの破綻にある。プルトニウムは本来、現在の原発とは全く仕組みが異なる高速増殖炉の燃料と想定されていた。
 ところが、原型炉「もんじゅ」は廃炉が決まり、実用化の見通しは全く立たなくなった。プルトニウムとウランを混ぜて現在の原発で使う「プルサーマル発電」もあるが、東京電力福島第1原発事故で再稼働すら簡単には進まなくなっている。
 プルトニウムの利用は八方ふさがりであり、容易に消費先は見いだせないだろう。そうなったのはひとえに、核燃サイクルを遮二無二推進してきたからだ。日米原子力協定の期限切れも見直しのチャンスだったが、議論も反省もないまま延命された。幕引きの決算を、またもや将来に先送りしただけにすぎない。