群馬、長野県境にある草津白根山の本白根山(群馬県草津町)が23日に噴火して1週間が過ぎた。全国に50ある常時観測火山の一つだが、場所は想定外で、1人が死亡、11人が重軽傷を負った。常時観測火山が12ある東北でも、人ごとではない。立地自治体にとっては観測態勢の整備や避難計画作成などが急務だ。
 草津白根山は白根山、本白根山など標高2000メートル級の山が連なる。気象庁によると、近年の活動は北に2キロほど離れた白根山側で、観測機器の設置なども偏っていた。
 今回は噴火の中でも小規模な「水蒸気噴火」とみられる。周辺で火山性微動など事前の兆候もなく、「ノーマーク」とも言える形だった。
 ただ、当初は本白根山の火山活動は「約3000年前」としていたが、その後、複数の噴火口が確認され、専門家の調査では、約1500年前にも噴火があった可能性が出てきたという。
 悪天候もあって監視カメラでの確認が遅れ、気象庁が「噴火警報」を出したのは1時間後。同庁は2014年9月の御嶽山噴火の際、事前に「噴火警戒レベル」を上げずに批判を受けた。教訓を生かせたかも問われよう。
 政府は御嶽山噴火を受け、翌15年、活動火山対策特別措置法(活火山法)を改正。周辺自治体に火山防災協議会を設け、ハザードマップや避難計画を作ることが義務付けられた。東北全県が該当する。
 草津白根山噴火と前後し、岩手山では避難計画案が提示され、十和田ではハザードマップが示された。各協議会での対応は進んでいるものの、今回の事態を受け、想定される条件の妥当性などを改めて確認しながら、作業を一層加速させる必要がある。
 シェルターなどの避難施設整備も不可欠だ。昨年9月時点の共同通信の調査では、東北の火山で避難施設はどこにも設置されていなかった。
 藤井敏嗣東大名誉教授(マグマ学)は火山噴火予知連絡会長時代の15年、「江戸時代の富士山のような大噴火が1世紀の間に4、5回起きるのが普通の姿。(日本列島の火山が)これから活動期に入る可能性がある」と指摘した。
 世界を見ても昨年11月以降、インドネシア・バリ島とスマトラ島、ロシアのカムチャツカ半島、太平洋のパプアニューギニア、フィリピンのルソン島と、各地で火山の噴火が相次ぐ。しかも規模は草津白根山を上回る。
 東北では蔵王山(蔵王連峰)の火山性微動が続いていることを受け、噴火警戒レベルを1(活火山であることに留意)から、2(火口周辺規制)に引き上げられたばかり。
 いつ、どこで、どんな形で噴火が起こっても不思議はない。常時観測火山以外でも当然、警戒が必要。政府も財政的な支援や専門家派遣など、地域の取り組みを最大限支える仕組みを強化すべきだ。