いったい、決裁文書の改ざんは誰の指示で、何の意図で行われたのか。
 学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地売却を巡る問題の核心部分の疑念は、きのうあった参院予算委員会の集中審議でも、一向に晴れることはなかった。
 麻生太郎副総理兼財務相は「今の段階では(当時理財局長だった)佐川宣寿前国税庁長官が最終責任者になる可能性が大きい」とこれまでの答弁を繰り返した。
 さらに太田充理財局長も「外部や上からの指示、相談はなかった。佐川氏の関与の度合いは高い」と語り、佐川氏に責任を押し付ける姿勢が一層鮮明になった。
 14文書200項目超に及ぶ大規模な改ざんである。自らの答弁とのつじつま合わせのために、官僚が刑事罰も覚悟の上で、独断で行ったとは到底思えない。
 もし佐川氏が改ざんの責任者であると主張するならば、本人に直接問いただすしかあるまい。証人喚問が解明の鍵だ。佐川氏は捜査対象になっていることを盾に証言を拒否することなく、誠実に答えるのは当然である。
 と同時に、財務省は関係者から事情聴取を進め、国会に調査結果を速やかに報告しなければならない。麻生財務相の監督責任が問われるのは言うまでもなかろう。とかげのしっぽ切りは許されない。
 そもそも、情報開示に後ろ向きな財務省に内部調査の適格性はあるのかどうか、甚だ疑問だ。実際、財務省が公表より前に改ざんの可能性を把握していたのに、公表が数日遅れるなどの不誠実な対応が指摘されているからだ。
 このままでは、野党側から提起された国会での調査特別委員会の設置や、国政調査権の発動もやむを得ないのではないか。
 安倍晋三首相に対して質問が集中したのは、「自分や妻(昭恵氏)の関与があれば議員辞職する」と断言した昨年2月の国会答弁だ。
 この発言で財務省の忖度(そんたく)が働き、改ざんに影響を与えたのではないか、と野党側が追及した。首相は「決裁文書の存在も知らない。指示しようがない」の一辺倒。論点がかみ合わない答弁に終始した。
 ただ、改ざん前の文書に昭恵氏の名前が記載されていた点について、太田理財局長は「基本的に首相夫人だということでだと思う」と述べた。野党は存在の重要性を指摘しており、昭恵氏の国会招致も避けられないのではないか。
 共同通信社が17、18日に行った世論調査では安倍内閣の支持率は38.7%と急落した。文書改ざんで「安倍首相に責任がある」の回答は66.1%。「麻生財務相は辞任すべきだ」は52.0%だった。
 「安倍1強政治」への国民のいらだちや、不信感が一気に高まっていることがうかがえる。信頼回復のためには真相の徹底究明しか道はない。