日本穀物検定協会(穀検)が発表した2017年産米の食味ランキングで、山形県が本年度、県産米ブランド戦略の柱に据えてきた主力品種「はえぬき」の「特A」奪還はならなかった。
 残念な結果ではあるが、高級品種「つや姫」と今秋本格デビューする「雪若丸」(参考品種)はともに特Aを獲得している。いたずらに悲観することなく、冷静に山形が持つ強みを分析し、生産調整(減反)廃止後のコメづくりを考える機会にしたい。
 県が食味ランキングを重視してきたのは、「つや姫」が特A取得を弾みに市場評価を高め、魚沼産コシヒカリ(新潟県)に次ぐ高価格帯に定着した実績があったからだ。
 しかし、今回は参考品種を除いても過去10年で最多の151銘柄が出品され、3割近い43銘柄が特Aを取得。流通関係者からは既に特A銘柄が多すぎ、優位性を発揮できないとの声も出始めている。
 食味の良さで高値販売を狙う産地間の競争は、もはや限界に近づいているようだ。
 県は17年3月、「第3次農林水産業元気再生戦略」を策定し、20年までに農家の生産農業所得を14年比1.3倍の1100億円に伸ばす目標を掲げた。
 実現には、多くの農家の生計を支えるコメをより高い価格で、より多く販売することが、最も重要なのは言うまでもない。海外市場を見据えた販路拡大や家庭向けだけでなく加工・業務用などの需要に応じた生産が不可欠になる。
 16年度の県産農産物輸出量は843トンで、このうちコメは612トンを占める。輸出先は中国本土が約4割で最も多く、次いで香港、シンガポールなどが3割前後で続く。富裕層が増えるアジア各国で、日本のコメ人気が高まっていることが要因とされる。
 中国への主食用米輸出は現在、防疫上の理由などから横浜港経由でしか認められていないが、酒田港にある県の薫蒸施設は11年に農林水産省の登録を受けており、将来的に対中輸出の拠点となることが期待されている。
 日中関係の悪化で12年から停滞している中国当局の手続きが再開されれば、酒田港発のコメ輸出に道が開けそうだ。あらゆる手段で可能性を探るべきだろう。
 一方、業務用米市場で引き合いが強い「はえぬき」の後継として有望視される新品種「山形142号」の開発も進みつつある。雪若丸と山形122号を交配し、栽培しやすく、収量の多い品種を目指した。中食・外食用は不足が続いているだけに、奨励品種選定に向け作業を急ぎたい。
 さらに高齢化と人口減少が加速する地域では、特別な手間を必要とせず、一定の品質と収量を確保できる品種の開発は産地の持続性向上につながる。過当競争を抜け出し、ゆとりある米どころの未来を構想したい。