政府のずさんな公文書管理の実態がまたも明らかになった。陸上自衛隊のイラク派遣に関して、これまで「存在しない」とされてきた部隊の日報が見つかった。組織ぐるみの意図的な隠蔽(いんぺい)を疑われても仕方がない失態だ。
 防衛省を巡っては、南スーダン国連平和維持活動(PKO)陸自部隊の日報が保管されていたことが昨年、発覚している。また、学校法人「森友学園」に関する財務省の決裁文書の改ざんが大きな問題となったばかりでもある。
 公文書管理に対する国の省庁の極めて低い意識が再びあらわになったと言える。罰則を設けることも含めて公文書管理法の改正を本格的に議論し、文書管理と保存の在り方を根本から改善すべきだ。
 今回見つかった文書は、陸自部隊がイラクに派遣された2004~06年の延べ376日分、約1万4千ページという。防衛省によると、陸自研究本部に電子データで、また陸上幕僚監部衛生部には紙で残されていた。
 しかも、陸自がその存在を確認してから小野寺五典防衛相に報告されるまで、2カ月半以上もかかっていた。民主主義国家の基本原則である文民統制(シビリアンコントロール)の視点からも、看過できない問題だろう。
 当時、イラク派遣の陸自部隊の宿営地だった南部サマワは「非戦闘地域」とされていた。しかし、実際には、武器使用を迫られるほど差し迫った状況に直面した場面があったとされる。見つかった日報には、そうした緊迫状況が具体的かつ詳細に記されている可能性がある。
 昨年2月、当時の民進党議員の資料提出要求に対し、防衛省が「不存在」と回答している。単なる事務的なミスではなく、むしろ組織ぐるみでイラク派遣部隊の実態を隠蔽しようとしたのではないか。こうした批判や疑念の目を政府は甘んじて受けなければなるまい。
 「歴史的事実の記録である公文書等は健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源」。09年に制定され、11年に施行された公文書管理法は、第1条で公文書の価値を規定している。公文書の保管は単に行政のためではなく、国民のためである。
 他の一部の先進国とやや意識が違って、日本の場合、仮に重要な文書であってもできるだけ残さないという傾向が政府機関に強くあったとされる。メモなども含めて政策決定に関わるさまざまな文書を、後に検証可能なように保存しておくのは、歴史に対する義務でもある。
 公務員の意識改革が必要なのは当然のこととして、文書管理を監視する第三者機関の充実など、改善に向けた論点は幾つもある。次々にずさんな文書管理の実態が明るみに出た以上、公文書管理法に罰則を加えるなどの議論も当然必要だろう。