北朝鮮が核実験と大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験を中止し、核実験場の廃棄を決定したと朝鮮中央通信が21日伝えた。金正恩朝鮮労働党委員長が平壌で開かれた党中央委員会総会で発表したという。
 27日の南北首脳会談と6月上旬までに予定される米朝首脳会談を前に、北朝鮮がとりあえず融和的な姿勢を見せた形だ。ただ、完全な非核化に向けて北朝鮮がどこまで本気なのか、不透明な状況であるのに変わりはない。
 北朝鮮は非核化への国際社会の期待を一方的に裏切ってきた。今回も非核化そのものには言及していない。核実験場はその使命を終えたという理由で、廃棄の方針を示したに過ぎない。具体的な廃棄の方法や工程も明らかにしてはいない。
 米国、韓国、中国などは北朝鮮の決定を歓迎している。しかし過大な期待はこの国に対しては禁物だ。むしろ試されているのは日米韓のより強い結束だと言える。
 核保有によって米国から体制保証を取り付けようとしている北朝鮮が、容易に核兵器の放棄に応じるとは考えにくい。制裁の手を緩めることなく、一筋縄では行かない北朝鮮の今後の出方を注意深く見守る必要がある。
 日米が北朝鮮に求めているのは「完全かつ検証可能で不可逆的な核廃棄」が基本だ。そのためには、ICBMの廃棄に加え、日本を射程圏内に置いている中短距離弾道ミサイルの廃棄は、言うまでもなく不可欠だ。
 国際原子力機関(IAEA)による査察の受け入れ、核兵器関連施設の解体と撤去、原料となる核物質の廃棄も見据えて、韓国と米国は北との会談に臨むべきだ。
 これまで北朝鮮の非核化は失敗が続いた。1992年に南北で朝鮮半島非核化宣言が発効したものの、翌年には核拡散防止条約(NPT)から北朝鮮が脱退を宣言。さらにIAEAからの脱退も表明した。
 その後、94年の米朝枠組み合意で核開発の凍結を約束したにもかかわらず、核施設の建設再開、さらに核実験へと突き進んだ。日米韓は北朝鮮に躍らされ、結果的に核開発の時間的猶予を与えたに過ぎなかった。
 現在、金委員長が求めているのはあくまで「朝鮮半島の非核化」だ。北の核放棄が一方的に先行するのではなく、段階的で同時並行的な措置を要求している。過去にそうであったように、段階的に制裁を解除しては支援の持ち逃げに終わってしまう危険にさらされる。
 北朝鮮の真意は見通せないが、米国は軍事的な選択肢を背景にしながら、核廃棄を完遂させる方策を模索していく必要がある。日本は米国の政策を支持し、拉致問題解決を含めて最大限の成果を得る努力を続けるべきだ。