巨大与党を率いる「1強」が窮地に立たされているのに、攻める野党の「多弱」は変わらない。結集の道筋は見えないどころか、離合集散の繰り返しとの印象すらある。
 民進党と希望の党は、5月7日に旗揚げする新党の名称を「国民民主党」に決めた。民進の党組織を存続させ、希望の新党参加組が合流する。
 民進の大塚耕平代表は「国民主権、国民生活、国民経済を守り発展させていく」と強調。希望の玉木雄一郎代表は「国民が第一の政治を目指すためゼロからのスタートにする」と述べた。
 新党は来夏の参院選を見据え「安倍1強」に対抗する勢力の結集を狙うが、そう甘くはない。それぞれ反発する不参加組を抱えており、衆院では目標としていた野党第1党の座を立憲民主党から奪うのは困難な情勢だからだ。
 新党に参加するのは60~70人とみられ、現在の民進、希望両党の合計107人から大幅に縮小することになる。衆院議員数は立民(56人)に及ばない見通しだ。
 共同通信の世論調査(14、15日)によると、政党支持率は希望1.9%、民進1.1%で低迷が続いていた。看板の掛け替えだけで支持拡大が見通せないのは自明だ。野党勢力では最も高い立民も11.9%にとどまる。6党を合計しても21.4%で自民の36.8%には及ばない。
 多くの有権者が旧民主党政権時代の負のイメージを拭えず、昨年の衆院選を前に民進が分裂した混乱劇にあきれ返っている-。数字から読み取れる民意の現実はこんなところではないか。野党に政権の選択肢たる期待を抱けていないのである。
 安倍政権では財務省の森友文書改ざん、加計学園問題、自衛隊の日報隠蔽(いんぺい)、前財務事務次官のセクハラ疑惑と相次いで不祥事が発覚した。
 このタイミングで繰り広げられた新党協議に「国民から数合わせとみられかねない」(民進党ベテラン)との批判もあった。
 それでも新党結成を急いだのは、来年春の統一地方選、夏の参院選に向け、支持組織の連合が民進勢力の再結集を促してきた事情がある。
 党名は当初、民進の前身の「民主党」に戻す案が有力だったが、総務省の指摘で不採用となった。国政選挙で立民の略称と重複するためで、両党執行部の見通しの甘さを露呈する結果にもなった。
 立民は「安易な合従連衡にはくみしない」(福山哲郎幹事長)と新党に批判的だ。野党間の折り合いが付かなければ、統一選や参院選で候補者調整が難航するのが必至だ。野党勢力は「万年野党」の塊と化す可能性すらある。
 有権者の野党勢力への期待値をどう上げていくか。政策を軸に譲るところは譲り、守るところは守る。まずは野党第1党の立民を軸にした連携の道筋を探るべきだろう。