立ち遅れていた山形県内の高速道路網の整備が本年度、一気に加速する兆しを見せている。沿線では観光拠点となる施設も開業し、整備効果を地域の活性化に生かす準備が進む。広域観光の振興に向け関係機関の情報共有と連携がますます重要になりそうだ。
 山形県を縦断する東北中央自動車道(相馬-横手間、268キロ)は4月15日、大石田村山-尾花沢インターチェンジ(IC)間の5.3キロが開通。唯一の未着手区間だった金山道路(金山町、3.5キロ)も新規事業化され、全線開通への道筋が見え始めた。
 さらに本年度は南陽高畠-山形上山IC間(24キロ)と東根-東根北IC間(4.3キロ)も開通予定で、その効果を広域的に波及させる戦略が求められる。
 高速道路の整備が地域経済にもたらす影響は、昨年11月に福島大笹生-米沢北IC間(35.6キロ)が開通した際のデータに鮮明に表れている。
 国土交通省山形河川国道事務所は開通後3カ月間、携帯電話の衛星利用測位システム(GPS)機能で利用者の位置情報を把握する「混雑統計」を用いた調査を実施。その結果、東北中央道を利用して県内を訪れた人の数は1カ月平均で開通前の19万3000人から40万8000人に倍増した。福島県からが2.8倍に伸びただけでなく、関東からも1.7倍に増えているのが目を引く。
 主な観光地別では、上杉神社周辺(米沢市)への入り込みは2.4倍、文翔館周辺(山形市)は2.8倍となった。赤湯、かみのやま、蔵王の各温泉の宿泊者数も2~3倍に増加しており、観光客の動向に大きなインパクトを与えたことが分かった。
 この区間では米沢中央IC近くに先月20日、国の「重点道の駅」として整備された道の駅「米沢」がオープンした。充実した物販、飲食施設に目が向きがちだが、県と米沢市が共同で整備した狙いは、にぎわい創出だけにとどまらない。
 県内外を周遊する広域観光の拠点を目指し、案内所に外国語に対応できる観光コンシェルジュを常駐させたり、旅行業登録をして旅行商品の開発も手掛けたりと、随所に野心的な試みをちりばめていることに注目したい。
 南陽高畠-山形上山IC間が開通すれば、米沢は山形、仙台、福島の各市と高速道路網で結ばれる。高速バスの停留所を設け、パーク・アンド・ライドの用の駐車スペースを確保したのは、今後を見据えた対応として評価できる。
 フィデア総合研究所(山形市)は、山形県を貫く東北中央道が全線開通した場合、経済波及効果は、年間約206億円に上るとの試算をまとめている。この大型連休は東北中央道の利用動向を詳細に把握し、将来的に開通効果を最大化させる戦略を探る機会にしたい。