やはり「加計ありき」だったのではないか。その疑惑がますます深まったと言わざるを得ない。
 国家戦略特区を活用した学校法人「加計学園」の獣医学部新設を巡り、国会にきのう参考人招致された柳瀬唯夫元首相秘書官(現経済産業審議官)は、首相官邸で2015年4月、学園関係者と面会したことをあっさり認めた。
 しかも、前後を含めて計3回、首相官邸で同学園関係者と会っていたという。15年4月に面会した際の相手の一人は、学園が今年4月、愛媛県今治市に開学した岡山理科大獣医学部の学部長だったとも証言した。
 国家戦略特区に絡む民間人と柳瀬元秘書官が官邸で面会したのは学園の関係者だけだという。何らかの「特別な計らい」があったのではないかとの疑念は拭えない。
 柳瀬氏は首相秘書官として15年2~3月ごろ、学園関係者と面会した際、獣医学部設置の計画を知ったという。4月の面会では、安倍政権が成長戦略の柱と掲げる国家戦略特区の制度を説明。さらに愛媛県と今治市が国家戦略特区での獣医学部新設を国に提案した同年6月にも、学園関係者と面会している。
 獣医学部の新設を認めたのも事業者を加計学園と決定したのも、安倍晋三首相が議長を務める国家戦略特区諮問会議だ。秘書官がその当事者と直接会っていた事実は、公平・公正の面で疑問視されても仕方あるまい。
 なぜ、この時期に学園関係者と官邸で面会を繰り返す必要があったのか。獣医学部の新設が認められ、事業者の公募が始まったのはずっと後の16年11月だ。当初から官邸主導による「加計ありき」の思惑があったのではないか。そう考えるのが自然だろう。
 柳瀬氏は13年5月、安倍首相が「腹心の友」と呼ぶ学園の加計孝太郎理事長に首相の別荘で会うなど知人だった。その学園の計画や面会について、秘書官なのに安倍首相に「一切報告しなかった」というのも釈然としない。
 柳瀬氏は、15年4月の面会内容をまとめた愛媛県の文書にある「首相案件」発言については「伝えたかった趣旨とは違う」と説明したが、それだけで官邸関与の疑念が消えたわけではない。
 加計学園の獣医学部新設を巡っては、許認可権限を持つ文部科学省に「首相官邸から圧力がかかり、行政がゆがめられた」と前川喜平前文科事務次官が批判している。「総理のご意向」「官邸の最高レベルが言っている」などの内閣府職員の発言も文科省の文書に残されていた。
 安倍首相は学園が国家戦略特区の対象事業者になっていることを認定当日の17年1月20日まで知らなかったとしている。どう考えてもやはり不自然だ。ここは加計理事長ら関係者らの国会招致を含め徹底的な究明が必要だろう。