俳優の勝地涼さんと女優の広瀬アリスさんが吹き替え声優を務める映画「パワーレンジャー」(ディーン・イズラライト監督)が15日から公開される。英語版「スーパー戦隊シリーズ」として米国などで人気のドラマのハリウッドリブート作で、勝地さんは5人組ヒーロー「パワーレンジャー」のリーダーでレッドのジェイソン・スコット(デイカー・モンゴメリーさん)、広瀬さんはピンクのキンバリー・ハート(ナオミ・スコットさん)の声を担当する。洋画の吹き替えは初めてという勝地さんと、声優の仕事自体が初挑戦だったという広瀬さんに、アフレコの感想や自身にとってのヒーローなどについて聞いた。

 ◇声優初挑戦で「終始パニック」

 「パワーレンジャー」は特撮シリーズ「スーパー戦隊」の英語版ローカライズとして1993年から放送されている米人気ドラマ。今回の映画は、小さな町、エンジェル・グローブでありふれた日々を過ごす普通の5人の若者が、偶然にも同じ時間、場所で不思議なコインを手にし、超人的なパワーを与えられ、悪の脅威に立ち向かう……という内容。吹き替え版には勝地さん、広瀬さんのほか声優の杉田智和さん、水樹奈々さん、鈴木達央さん、沢城みゆきさんらも出演する。
 
 声優は初挑戦だった広瀬さんは、「初めてだったので……。不安になりましたね。普段のお芝居と全然違うって、(アニメや声優が)好きだからこそ知っているので、どうなるんだろうな、と」と胸中を吐露。

 勝地さんも洋画の吹き替えは初挑戦。「(戦隊ヒーローは)子供のころの憧れで、ごっこ遊びもして、レッド(役)の取り合いもしていました。まさか30歳になってからレンジャーの声をやらせてもらえるとは思わなかった」と驚き、「最近はコメディー作品に出演することが多いから、レッドでいいのかな、みたいな」と語る。

 映画は、それぞれ問題を抱えた高校生が、地球を守るヒーローに目覚め、成長していく姿が見どころのひとつ。勝地さんは、「映画の中でヒーローになっていく、完全にヒーローじゃないところがやりやすかった。導入部分から(感情が)揺れていて、そのあたりからお芝居させてもらって、ようやくレッドらしくなっていく形だったので。自分的には(演じる人物の)気持ちの流れをくんだ上でやれたので、やりやすかったですね」と語る。

 演じてみて、やはり難しさを実感した、と広瀬さん。「終始パニックでした。台本を読んでいるのに、なぜか自分のせりふを忘れていたり。それぐらいパニックで」と明かし、「普段は表情とか仕草で(演技を)やりやすくしている部分もあるけど、(アフレコは)声だけ。で、後ろに(スタッフら)人が立っているので、動くにも動けなくて(笑い)。硬直しながらやっていました」と振り返る。「普通の会話ほど難しいものはないなと思いました。一番テーク重ねたかもしれません」とも。

 勝地さんも、「アニメだと、やりたいようにやれる余白が残されているところもあるけど、(吹き替えは俳優が)生身のお芝居されているし。(演じるキャラに)入ろうとして入っていくと『自分だったらこういう間でしゃべらなそうだな』とか、勝手に思ってきちゃって。でも途中で、そのテンションは守らなきゃいけないと気づいて、『あーいかんいかん』と……」とアフレコの難しさを語る。

 ◇理想の役者は古田新太 「あの域までいきたい」

 勝地さんと広瀬さんにとって、過去に自分が“覚醒”したと思う出来事は? 勝地さんは即座に「第29回日本アカデミー賞」の新人俳優賞を受賞した作品となった「亡国のイージス」(2005年)への出演を挙げ、「周りのとんでもない役者さんたちの中でやらせていただいて、毎日覚醒せざるを得ないというか……実力の何倍以上も出さないと対応できなかった」と回顧。広瀬さんは「長期で地方ロケに行くと、都会から離れるので情報が全く入ってこないけれど、それは嫌じゃない。覚醒というより解放というか……。自分の中の感覚がガラッと変わる瞬間はありますね」と語る。

 映画では、自らヒーローとして声を演じている勝地さんと広瀬さん。では自分にとってのヒーローとは? 勝地さんは「おやじ、蜷川幸雄、古田新太」の3人を挙げる。「おやじは厳しい人でしたけど、仕事していく上での心みたいなのを教えてもらった。蜷川さんは、出会った10代の時から、常に新しいものへの欲求や興味がすごい。『世界の蜷川』って言われているのに満足していない。そんな大人になりたいなと思わせてくれた」と語る勝地さん。古田さんについては「理想の役者。テレビドラマでも、『逃げるは恥だが役に立つ(逃げ恥)』『あまちゃん』『木更津キャッツアイ』、そういうポイントとなる作品に出続けている。でも真骨頂は舞台だったり。そういう、バランスよくやっている人にはとにかく憧れる」と熱く語り、「あそこの域までいきたいなと思いますね」と思いを明かす。

 広瀬さんは「初めてカッコいいなと思ったのは『バーレスク』(音楽界のスーパースター、クリスティーナ・アギレラさんの主演作)。女性の輝いている姿を初めてちゃんと見たときで、めっちゃ憧れました」と明かす。実は、この作品のことを教えてくれたのは今年亡くなった俳優の松方弘樹さんだったという。「お仕事ご一緒させていただいた帰り際に、さらっと言われて。それで見ました」とエピソードを語る。

 大のアニメ好きとして知られる広瀬さん。演じていて楽しかった瞬間は、「他の声優さんの声をヘッドホンで聞いた時」とにっこり。「テンションの上がりようはハンパなかったです。『ああ、しゃべってる!』って(笑い)。たぎりましたよね。ブチ上がった感がありました」と楽しそうに語った。

 <プロフィル>

 かつじ・りょう。1986年生まれ、東京都出身。映画「亡国のイージス」(2005年)で第29回日本アカデミー賞の新人俳優賞を受賞。映画は「バンクーバーの朝日」(14年)、「クローズ EXPLODE」(14年)ほか出演多数。ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2016でニューウェーブアワード受賞。9月には主演舞台「宇宙船ドリーム号」を控える。

 ひろせ・ありす。1994年生まれ、静岡県出身。2009年に「ミスセブンティーン2009」に選ばれ、雑誌「Seventeen」(集英社)の専属モデルを務める。映画「すべては海になる」(10年)やテレビ東京系の連続ドラマ「釣りバカ日誌 Season2 ~新米社員 浜崎伝助~」に出演するなど女優としても活躍。今後は俳優の山崎賢人さんと主演を務める人気ミステリー作家の米澤穂信さんの小説が原作の映画「氷菓」の公開なども控えている。

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