東日本大震災で被災した岩手、宮城両県の中小企業を記録する映像製作会社「ソラワン」(東京)代表の田中敦子さん(75)が、震災から7年となる経営者の苦悩を描くドキュメンタリー映画の撮影を始めた。製作費の工面に苦労しながらも、「被災地の現実を伝え続けるのは自分の使命」と意気込む。
 田中さんは震災の3週間後に被災地に入り、石巻市、気仙沼市、岩手県山田町などの水産加工の経営者5人を追い続けてきた。これまで2本のドキュメンタリー映画を作り、今年1月に3作目を撮り始めた。
 1月下旬に気仙沼市を訪問。東京から日帰りの強行日程だったが、被災した水産加工会社でつくる気仙沼鹿折加工協同組合の関係者を精力的に取材した。
 田中さんは1960年代から50年以上にわたり映像の世界に関わってきた。ウルトラマンを生んだ円谷プロダクション(東京)の創設メンバーで、退社後はフリーのディレクターとしてドキュメンタリー番組などを手掛けた。
 テレビの世界を知り尽くす田中さんは震災直後、「テレビは必ず表面的な感動話だけを流す」と思ったという。そのような製作手法と一線を画し、対象者を絞って再建までの苦悩や被災地が抱える課題を丁寧に取材している。
 田中さんは「震災から7年がたち、勝ち組と負け組が二分化してきた。再建できずに倒産する会社も出るだろう」と話す。
 長期滞在の取材が多く、東京からの交通費や宿泊費など資金面の苦労は絶えない。自宅マンションを担保にするなどして資金を工面している。今回は同行スタッフと契約せず、現地でボランティアの撮影スタッフを探しながらカメラを回している。
 田中さんは「将来、南海トラフなどの巨大地震が起きた際に再建を目指す中小企業の参考にもなるはずだ」と強調する。ボランティアスタッフや支援の申し出などの連絡先はソラワン03(3797)7551。