願うことには、花の下で春のさなかに死にたい。お釈(しゃ)迦(か)様が入滅したその2月15日の満月のころに。この時代、「花」と言えば桜の花のことですが、私たちがよく目にするソメイヨシノではなくて、山桜だと言われています。「死」を歌うと暗いイメージになりがちですが、「花」「春」というハ音の響きとともに明るく歌われており、独特の味わいがあります。作者の西行はその願い通り、1190(文治6)年2月16日にこの世を去りました。(本田一弘)