「ぶだう」はブドウです。ブドウの名歌はたくさんありますが、その中で私が好きな一首です。ブドウを食べると、9月の空がいつの間にか1カ所だけ冷えていき、少し紫色になるよ。ぶどうという小さなものから空という大きな存在へと発想が飛躍していきます。空の一部がブドウのようになったという不思議な感覚の歌です。空が冷えて紫色に見えたのは寂しさや不安の象徴なのでしょう。イ音の響きが一首を貫き、しんみりとした気分になります。(本田一弘)