亡くなった母が長年愛用していた箪笥(たんす)。母の着物がたくさん蔵(しま)われています。その箪笥の抽斗(ひきだし)を開けたり、閉めたりするたびに鳴る音。おそらく古い箪笥なのでぎしぎしときしむ音がするのでしょう。しかし、箪笥には母の着物だけではなく、母の「声」も蔵われていて、その声が開け閉めの時に鳴るのだ、と歌う作者。母を懐かしく思う気持ちが胸にしみてくる歌です。この歌には、作者の母に寄せるあたたかい「声」も蔵われていると思いました。(本田一弘)