あぐり☆サイエンスクラブ春 堀米薫 著 黒須高嶺 絵

 農作業はきついけれど、やり終えた満足感と自分で作ったコメのおいしさは比べようがない。角田市で稲作を営む児童文学作家の著者が、子どもたちを田植えに誘(いざな)う物語を書いた。
 小学5年の男の子は両親、兄と4人暮らし。勉強は得意でないし、家族とはけんかが絶えない。ある時、美人の女性教師からチラシを受け取り、家族に内緒で「あぐり☆サイエンスクラブ」に入る。
 チラシには野外活動をしながら科学を体験すると書いてあった。だが、3人の同級生が連れて行かれたのはかやぶき屋根の民家と水田だった。驚く間もなく女性教師と実家の父、仲間のおばあさんから稲の種をまくように指示される。
 最初反発した子どもたちは丁寧にこつを教えてもらい、普段食べるコメ作りの大変さを実感する。汗を流した後は、ご褒美が待っている。ファストフードばかりの食生活に飽きていた子どもたちは、きな粉と砂糖がたっぷりのちまきや、梅干し入りのおにぎりに夢中になる。
 女性教師は顕微鏡を使って水田で暮らす微生物やクモの役割を教えてくれた。「野外活動と科学体験」の名目は本当だったのだ。
 しなやかなタッチの挿絵が印象的だ。「春」編に続き「夏」編も出版された。
 新日本出版社03(3423)8402=1512円。