◎震災ジャンキー 小林みちたか著

 ボランティアの視点から東日本大震災の被災地の実情や被災者の心情を捉えたルポルタージュ。ボランティアを美化することなく、自問自答しながら、身をもって被災地で感じたことを誠実に記している。
 同書は第1回草思社・文芸社W出版賞の草思社金賞を受賞。朝日新聞社の広告関係の部署を4年で退社した著者は、広告制作会社に転職したが、過労と親の介護で退職。次に主に難民を助ける活動をしているNPO法人「AAR Japan」に入り、2011年1月に大洪水で甚大な被害に遭ったスリランカの支援活動に携わった。
 著者が帰国して間もなく、東日本大震災が発生。著者は「AAR」の一員として被災地に向かい、支援物資の配達などに東奔西走した。
 手探りの活動が続いたが、被災地の想像以上に厳しい現実に直面し、心を揺さぶられる。高台に家があって「自分だけが助かった」と自責の念に駆られる女性や「施しは受けない」と必要最低限の物資しか受け取らない男性…。さまざまな事情を抱えて苦しむ被災者を前に、著者は「自分は本当に役に立てているのだろうか」と悩むが、被災者とのつながりに支えられて活動を続ける。
 ボランティアの危うさにも言及。一歩間違うと、自己陶酔や過剰な自尊心、自己顕示欲などが刺激され、善意の押し売りになる恐れもあると指摘。ボランティアに携わる人間の迷いや不安などを包み隠さずにつづっている。
 著者は1976年東京都生まれ。2010年に「AAR」所属。11年退職。フリーのライターとして被災地に通い続ける。
 草思社03(4580)7676=1512円。