10日公示された衆院選(22日投開票)では、アベノミクスをはじめ各党の経済政策が問われる。東北経済は緩やかな回復基調にあるとされるが、東日本大震災に伴う復興需要が収束に向かう一方、人手不足は深刻化する。個人消費が力強さを欠く中で、消費税増税を不安視する声も根強い。難局を乗り越え、経済を立て直す策はあるか。東北の経済人に聞いた。(5回続き)

◎みやぎ工業会(仙台市)竹渕裕樹理事長

 -製造業の現状は。
 「スマートフォンや自動車、半導体関連が好調だ。大手の売り上げが伸び、部品を納入する中小企業にも波及している。3月実施した工業会正会員の製造業など約350社に対するアンケートでは、売り上げが横ばいは5割、増加は4割だった。現在はさらに上向きになっているだろう」
 「海外の景気も米国は堅調、欧州も良くなっている。減速の兆しはない。懸念があるとすれば北朝鮮だ。暴発して混乱が起きることは避けてほしい。そうした情勢なのに今、選挙をする必要があるのかどうか疑問だ」

 -製造業はアベノミクスの恩恵を受けた業種とされているが、どう評価するか。
 「点数を付けるとすれば70点。円安誘導で輸出が伸びている。海外に出た企業が国内に回帰し、設備投資を行うという例もあった。株価も上がり、企業の懐具合が良くなっている」
 「課題は成長戦略だ。規制緩和は語られるほど進んでいない。今はIoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)化が進む大きな転換期。日本は最先端におらず、遅れている。これらの分野こそ成長戦略の柱にするべきだ」

 -製造業では人手不足が深刻化している。
 「有効求人倍率が上がり、人材採用が困難になっている。人手不足は喫緊の経営課題だが、政府の対策は後手に回っているように見える」
 「働き方改革も製造業の現場に混乱をもたらしている。政府は労働時間を減らす代わりに働き手を増やそうとしているが、新たに従業員を雇用しても、すぐに仕事ができるようにはならない。改革を急ぎ過ぎている」

 -人手不足の解消には、どんな施策が有効か。
 「首都圏から地方に向かう人の流動化を加速してほしい。海外から人を呼び込み、働いてもらう策も求めたい。現在、外国人は高度な技能者だけに絞っているが、工場など現場の仕事に従事する人も必要。各企業に国内回帰の機運が高まっているだけに、早急に解決してほしい」
 「教育無償化にもめりはりが大切だ。未来のデジタル社会を支える人材を育成するシステムがあってもいい。そのためには、大学改革も必要になる。学生のころから職業観や技能を身に付けさせて社会に送り出せば、10年、20年先の日本の競争力を高められる」