堅守速攻はいまや多くのチームが掲げるトレンド。仙台はそれに加え、ハーフコートの攻撃を緻密に組み立てる。ボールを持たない選手の位置や動き出しのタイミングを細かくルール化。顔の向き一つで周りの選手の動きを変えるほど、決めごとは細部にわたる。
 夏の練習はまだ選手たちに戸惑いが見られた。基本のプレーを覚えることに精いっぱいで、動きがぎこちない。
 後藤新監督は逐一動きを止め、粘り強く説明する。体格差が小さく、チーム戦略がものをいう女子Wリーグの監督経験が長い。丁寧な指導には定評がある。「監督の要求通りできないと切り捨てられることが多いが、後藤監督は(戦略の細やかな部分まで)突き詰めてくれる」と志村。相手を引きつけ逆サイドにパスを展開し、フリーでシュートを放つ形がつくれてきた。指揮官の意図は選手たちに徐々に浸透している。
 飛び抜けた実績を持つ選手は補強していないが、若さや高さが強みだ。藤田は鋭いドライブや跳躍力を生かしたブロックショット、泉はリバウンド争いで力を発揮する。課題もあるが、後藤監督の指導で潜在能力を引き出せれば、大きな戦力になる。泉は「毎試合オフェンスリバウンドは2本以上、得点は2桁を狙う」と頼もしい。
 外国人はチームプレーの意識が高く、後藤監督のスタイルに合う。アシャオルとウィリアムスのパスセンスは抜群。精度の高い連係プレーが期待できる。
 日本国籍取得選手の坂本の故障離脱による戦術の見直し、守備の強化など難題は多い。それでも、きめ細かな戦略に伝統の速攻を合わせ、リズムをつかみたい。「個の力をもっと上げる。B1復帰しか考えていない」と後藤監督。シーズンを通し成長し、最後に成功をつかむ。