星野仙一さんは東日本大震災の被災地にも強い印象を残した。2011年4月8日、宮城県山元町を訪れた際、町の臨時災害FM局「りんごラジオ」に飛び込みで出演。東北楽天監督として初めて迎えるシーズン開幕の4日前に「東北を代表して燃え尽きるまで燃えていきたい」とチームの躍進を宣言し、2年後、チームを初の日本一に導いた。
 星野さんはラジオに出演する前、町沿岸部をコーチや球団スタッフと訪問していた。「こんなことがあっていいのかと、信じられない被害だった」「耐えている方々の姿を見て、勇気を持ってシーズンを戦おうと決意した」。静かな口調でマイクに向かった。
 生出演を終えた後、りんごラジオ局長だった高橋厚さん(75)に「優勝を目指して全力で頑張る」と語った。
 13年、星野さんは約束を果たした。「まさかあの大変な状況から2年で優勝するとは思わなかった。ものすごい人だと思った」と高橋さん。スタッフだった妻の真理子さん(68)は「開幕直前にもかかわらず来ていただき、多くの住民が励まされた」と振り返る。
 10分弱の出演で残した力強いメッセージは、今も住民の心に残っている。