プロ野球東北楽天の元監督で、4日に亡くなった星野仙一さん(球団副会長)の遺志を継ぐ選手がいる。星野さんの故郷、岡山県の選手として24年ぶりのドラフト1位指名を受け、東北楽天入りした近藤弘樹投手(22)=岡山商大=だ。「とても期待してくれていた。岡山を代表して頑張る」。天国の「闘将」に届くような活躍を誓う。
 威力のある投球がミットに収まった。9日、仙台市宮城野区の楽天生命パーク宮城の室内練習場で始まった新人合同自主トレーニング。近藤投手は約15分間のキャッチボールで、最速153キロを誇る剛腕の片りんを見せた。
 186センチ、96キロの体格で多彩な変化球も操れるが、広島・安佐北高時代に目立った実績はない。志望した関東、関西の大学は不合格。岡山商大に進んだことが人生の転機となった。「キャッチボールの時の球筋が素晴らしく、マー君(現ヤンキース・田中将大投手)のようなセンスを感じた」。岡山商大コーチの三宅博さん(76)は振り返る。
 三宅さんは1981年から25年間、阪神のスコアラーを務め、2003年には監督の星野さんと18年ぶりのリーグ優勝を喜び合った。信頼され、08年は星野さんが日本代表を率いた北京五輪に帯同。4位に終わり、失意の中で戻った宿舎での会話を今も覚えている。
 「地元の岡山に戻って、プロ野球選手を輩出したい」。三宅さんがずっと温めていた夢だった。星野さんに「考えてみいや。いい選手はみんな、都会に出て行ってしまうんやで」と一度は引き留められたが、情熱を持って語り続けると「じゃあ、約束やで」。笑顔で握手を交わしてくれた。
 近藤投手は1年春のリーグ戦から頭角を現し、4年時にはプロ入りが確実視された。星野さんはドラフト会議後に「(梨田昌孝)監督を押しのけてでも俺が指導したい」と周囲に語ったという。三宅さんは「あの時の夢と約束を覚えてくれていたのだと思う。育てるのを楽しみにしていたのに…」と寂しそうに言う。
 「まずは開幕1軍を目指して、少しでもチームの勝利に貢献したい」と力を込める近藤投手。熱い期待を背に、険しいプロの第一歩を踏み出した。